1st,March,2015
大きな丸い目。
色素の薄い瞳。
白い肌。
葉桜の季節、
僕は、盲目になった。
脳裏には、少女の笑顔。
焼き付いた情景。
使いまわしのフィルム。
劇場には、僕しかいなかったのか。
それすら覚えていない。
誰かが僕を喫茶店に誘っただろうか。
職場先の上司からの電話が入っただろうか。
わからない。
僕は、盲目だった。
時は移ろいだ。
上映終了のブザーが劇場に響き渡る。
消える少女。
残された僕。
永遠に繰り返される情景。
明るくなりつつある劇場。
僕は、視力を取り戻した。
君が、好きでした。