第一話 くだらない家族会議 『参加者:瀬奈秋斗・奈子』
こんにちは
楽しくみてください。
「家族会議だよ~! 全員集合~!」
我が妹が家の中で大声で集合命令を掛けていた。
家族会議とは、家族で話し合う場みたいな物だ。悩み相談から、規則、やってほしい事、やめてほしい事などの相談したいときに集合する。
今日は我が妹が何か相談したい事があって声を掛けたのだろう。
とりあいず、リビングの席に着く俺。
「我が妹さんよ。今日の家族会議の内容は何なのかな?」
「なに、おじいさんみたいに喋ってるのよ」
見た目はまんまなロリ姿な七瀬奈子。
可愛らしいショートカットの髪の毛に小っちゃいSSサイズの服。どこからどうみても小学生! だが、見た目と年齢の差は大きく異なり、我が妹は高校一年生なのである。
「ねぇ、ほかの皆はまだ来ないの?」
「ん? 愛しのお兄ちゃんだけじゃ不満なの?」
「……ッ」
顔をゆでだこみたいに赤くして、今にも咳がでそうだが我慢している姿も可愛い。
二人っきりだから、今日は変な目をしても怒られない!
こういう時に妹との愛の時間を確かめるべきだ!
「おにい……。なんで! そんな切り替えしが来るわけ!」
「今、お兄ちゃんと呼ぼうとしたよね。お兄ちゃんって」
「そんな訳ないでしょ! それより今日はあの二人はまだ来てないの?」
「うん。二人とも用事があるって」
「はぁ。なんでこういう時に集まり悪いかな」
「我が妹よ~」
「ん? なに?」
「ねぇ、二人っきりだね」
「それが?」
「一緒に初夜迎えよっか、お兄ちゃんが初めてもらってあげるから」
「ぶっ」
いきなり、ズズゥーと吸っていたお茶を吐いてしまった妹。
相変わらず、エロ方面にはいちいち過剰反応するんだよな。そういうのをムッツリツケベとでもいうのかな?
「なんで、秋斗と初夜を迎えなきゃいけないのよ!」
「だって、お兄ちゃんだから…………ね?」
「ね? じゃないわよ! というか、夜でも無いよ! 朝だよ! 土曜日の朝!」
「じゃあ、妹よ。初朝を迎えるとしますか!」
「初朝って何! 朝から何する気! 止めて休日くらいゆっくりさせて!」
「じゃあ、平日の朝にやるんだね!」
「やらないよ」
「えええええええええええッッ!」
「なに! そんな驚かれているとこっちが悪いみたいじゃん」
「僕ね、妹とね、初夜をね、向かいたいよね」
「語尾にねを『ね』付けてもダメだよ! 全然可愛くないから!」
「エエエエエエエエエエエッッ!」
「カタカナ風に言っても無駄だよ! というか、悪くないよね? 私」
「今日は初夜無しにして今度にしようか」
「いや、やってないからね! なにもやってないからね。経験さえないからね! 既成事実を作るのは止めようね!」
「まぁ、しょうがないですか」
「そうだよ。義理でも兄妹なんだよ!」
「義理か…………」
「そうだよ! 義理でも兄妹だよ! 破廉恥な事はメッするよ」
「義理………………。そそられる~ーーーー」
「何に!」
「だって、血の繋がって無い兄妹じゃ、何もできないじゃないですか。一線越えられないじゃないですか」
「越えちゃダメだよ! その線を越えちゃダメ! ストップだよ」
「というか、秋斗がこんな風になっちゃったのいつ?」
「君達、三姉妹が来てから? かな?」
「それって私達のせいなの!」
「そうです。あなた達三姉妹がいけないんです!」
「ええっ! というか、秋斗も、秋斗で初対面であんな事言ったし!」
「あんな事?」
いきなり親父から呼び出しが掛かって公園に行ってみたら三人の女の子と一人の女性と親父がいて……、たしか親父から再婚するよ。みたいな事を言われて、俺が女の子三人を見た瞬間ビビッと来たんだよな。
「妹! 姉! 義理だからそそられます! 今日から俺はシスコンになるっ! 皆好きだ!」
「でしたっけ?」
「そう! それだよ! いきなり何言い出すかと思えばシスコンになるって、これから家族になるのに何を言っているの! って感じだったんだからね」
「あぁ、そういう事か!」
「わかってくれたの? シスコンから脱退してくれるんだね」
「こうえば良かったんですね」
「妹! 姉! 母! 義理だからそそられます! 今日から俺はマザコンとシスコンになるっ! 皆好きだ! 結婚してくれ!」
「こうか!」
「違う! なんで母親まで狙うのよ! というか、自分の父親から結婚相手奪ってどうするのよ! 家族崩壊の前に家族になれないよ!」
「まぁ、でも」
「でも?」
「家族になれたんだからよかった」
「んっ……。 まぁね」
こんな、変な家族が繰り広げていく日常。
家族とは血がつながって無くても戸籍に家族と認められれば家族だ。
そして、七瀬家の茶の間は今日も騒がしかった。