黒猫の見る先は
全部壊れちゃえば良いって
皆死んじゃえば良いって
あたしは生きてない。
死んでないだけ。
誰もあたしを気にとめる人なんか居ない。
「隣、いいか?」
大きな瞳をこっちに向けないで。
心地が悪い
すぐに逸らした。
お構い無しに近くに寄ってくる
「ごめんな」
謝る位なら遠慮しなさいよ。
睨んだら、苦笑い。
眩しくて、びっくりした。
ずっと見ていたいと、
思ってしまった。
どうでもいい…のに。
こんな人生、下らないわ。
そんな事考えながら暮らしてる自分も下らない。
なのに。
「隣いいよな?座るぞ?」
彼はどんどん強引になってく。
立って避けるのも面倒。
「なあ。俺と付き合わねぇ?」
お日様みたいな笑顔でそんな事を云われて、耳を疑った。
この人どうかしちゃってるんじゃないかしら。
こんな地味で、暗くて、面倒で下らない女と?
あたしは無意識に彼を受け入れようとしてた事に気付いてしまった。
「あたしの事好きなの?」
「うん、好き」
「何処が?」
「んー、みんな死んじゃえって思ってそーな目」
眩しい笑顔。
こらえきれない涙が落ちた。
見ててくれたのね。
…くだらないわ。
だってあたしが貴方を見たら貴方はあたしを見ないんでしょう。
全部壊れてしまえばいいなんて思えなくなるのは恐いわ。
でも、
どうしても貴方の笑顔って眩しいの。