エピローグ:影のゲームの始まり
第1巻「囁く石と墜ちた歩兵」を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
学園の闇を暴いたアイペリが見据える、次なる標的とは……。
物語はここから、真の深淵へと足を踏み入れます。
その夜、天文学の塔の頂上には、冷たく鋭い風が吹き抜けていた。
アイペリとエルデンは、眼下に広がるアカデミーの灯りを見下ろしていた。彼らの間には、さまざまな石が配置された学園の地図――彼らの盤上が置かれている。
エルデンは、カエランを表していた輝く黒いオニキスの駒を手に取ると、そのまま暗闇の中へと放り投げた。駒は音もなく夜の底へと消えていった。
「一人の歩兵が落ちましたね」
エルデンが静かに告げた。
「ですが、あなたの要請通り分析を終えました。過去半年間で、七件の『事故』と四件の『突然の退学』が確認されています。いずれも、稀少で『混沌とした』才能の持ち主ばかりでした。あなたの予想通りです、影よ。このアカデミーには、別の何かが潜んでいます」
アイペリは地図の上に、二つの新しい石を置いた。
一つは、素朴で滑らかな灰色の川の石。それはアルミルを表していた。
もう一つは、美しく輝いているが触れると冷たく震えるピンク色のクォーツ。それはリナを表していた。
「カエランは単なる雑音だったわ、エルデン」
アイペリの声は、仮面の裏で冷徹に響いた。
「真の脅威は、沈黙の中で獲物を狩る捕食者。そして、彼女はまだそこにいるわ」
瞳が、星空よりも深い計算の色を宿して輝いた。
いかにして次なる同盟者を勝ち取り、いかにしてこの隠れた狩人を自らの罠に誘い込むか。
「ここからが、ゲームの本番よ。一方の手で砦を攻略し――」
彼女は灰色の石に触れた。
「もう一方の手で、盤上の毒蛇を見つけ出し、自らの毒で溺れさせてやりましょう」
――第1巻:囁く石と墜ちた歩兵 完
第1巻完結です!
トルコの風と、影の軍師アイペリの暗躍、楽しんでいただけたでしょうか。
この物語は第1.25巻、そして第2巻へと続いていきます。
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また次巻でお会いしましょう!




