第7章:墜ちた歩兵(ポーン)
ついに王子の調査が核心へと迫ります。
影で糸を引く「指揮者」の存在を感じ取るカアン、そして窮地に立たされたカエランの暴走。
第一巻のクライマックス、悪徳教官の末路をお見逃しなく!
カアン王子が調査を開始したとき、彼はまさにアイペリの予想通りの動きを見せた。――メソッドに基づき、知的で、そして残酷なほど効率的だった。
彼はカエランの汚職を容易に裏付けたが、彼の真の関心はそこにはなかった。彼が追っていたのは、情報の流出を完璧に操るプロの「オーケストラの指揮者」の正体だった。
その好奇心は、彼を図書館のエネルギーの揺らぎ――つまり、|禁じられた区域《Forbidd e n Section》へと導こうとしていた。
それはアイペリとエルデンにとって、予期せぬ危機の到来だった。
王子の接近を察知したアイペリは、即座に錬金術ラボで小規模だが人目を引く「事故」を引き起こした。大騒ぎになった現場へカアンの注意を逸らすことで、彼女は証拠を隠滅するための貴重な時間を稼ぎ出したのだ。
一方、追い詰められたカエランは、人生最大の過ちを犯した。
パニックに陥った彼は、自らの執務室にある証拠を処分し、罪を同僚の教官に着せようと画策した。しかし、アイペリとエルデンはその一手も読み切っていた。
エルデンはカエランの動きを瞬時に捕捉して偽装工作の証拠をコピーし、唯一の宛先へと送信した。――それは、カアン王子の元だった。
王子は、差出人不明のメッセージを受け取った。
『歩兵が王を守るために、別の歩兵を犠牲にしようとしているわ。今すぐ、彼の執務室を確かめて』
メッセージを読んだカアンは、迷うことなく行動した。
王立近衛兵を伴ってカエランの執務室へと踏み込んだその瞬間が、すべてを終わらせた。現行犯で押さえられたショックから正気を失ったカエランは、あろうことか王子に牙を剥き――その瞬間、自らの運命を完全に封印した。
翌日、教官カエランの罷免と、遥か北の氷の鉱山への終身刑が言い渡された。
カエランの失脚により、学園に一時の平和が訪れました。
しかし、これはまだ序章に過ぎません。
続いて、第一巻を締めくくる「エピローグ」をお届けします。




