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第6章:囁きの網と交差する火線

アイペリの掲げる戦略「囁きの嵐」が始動します。

学園を揺るがすスキャンダル、そしてリナの魔の手からアルミルを救うための「華麗なる失敗」。

ドジっ子を装った影の支配者の暗躍をお楽しみください!

作戦は、アイペリが名付けた戦略――『|囁きの嵐《Whisper Storm》』から始まった。


エルデン(Erden)は、カエラン(Kaelan)の汚職の証拠を収めた三つのデータクリスタルを、彼のライバルである教官たちの執務室に密かに置いた。

 だが、アイペリの真の狙いは生徒寮の共有サロンで放たれた。


彼女は一山の本を抱えて歩き、見事に「躓いた」。

 本の間から一枚の羊皮紙が滑り落ち、学園で最も噂好きな貴族令嬢たちのテーブルの下へと滑り込んでいく。

 そのメモにはこう記されていた。

『愛しのLへ。Kがあなたの父から受け取ったあの金貨の袋で、あなたのための「問題のある」生徒をリストから消してくれたなんて、なんてロマンチックなの! これであなたの前に立つ者は誰もいない。永遠にあなたのもの、Sより』


翌朝、アカデミーは内戦状態に陥っていた。

 教官たちは互いを疑い、生徒たちは「K」と「L」が誰なのかを特定しようと血眼になっていた。


この混沌の最中、アイペリは計画の第二段階を発動させた。

 アルミル(Almil)を、リナ(Lina)から守ることだ。


図書館前の庭園で、リナ(Lina)アルミル(Almil)に近づくのを、アイペリは見逃さなかった。


アルミル(Almil)ちゃん!」

 リナ(Lina)が、いつもの快活な声で話しかける。

「聞いたわよ、防御魔法は素晴らしいけれど、攻撃が苦手なんですって? もしよければ、今夜、誰もいない古い東訓練場で、私に特別なコツを教えさせてくれない? あそこは少し危険だけれど、あなたの潜在能力を引き出すにはぴったりだと思うの!」


(――いいえ、ダメよ。絶対にダメ。それが『|砂糖菓子の毒《Candy Poiso n》』の狩り方。獲物を孤立させ、危険な場所へ誘い出す。……行かせないわ)


アイペリは、不安定な薬品が載ったトレイを抱えて二人の元へ歩き出した。

 一つは『|竜の息吹の粉《Dragon’s Breath Powder》』、もう一つは『|ゴブリンの粘液《Goblin Mucus》』。

 リナ(Lina)アルミル(Almil)の横を通り過ぎる瞬間、彼女の足は「不可視の」石に引っ掛かった。


トレイが宙を舞い、二つの瓶が衝突して砕け散る。

 粉末と液体が混ざり合った瞬間、辺りはピンク色の、マシュマロのように膨れ上がる巨大な泡の雲に包まれた。腐った卵と焦げた砂糖が混ざったような凄まじい悪臭が漂う。

 泡は、リナ(Lina)の絹の制服と、手入れの行き届いたブロンドの髪に容赦なくこびりついた。


「あああああ! ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!」

 アイペリは、これ以上ないほど純粋なドジっ子の表情で叫んだ。

「私ったら、なんて不器用なの……!」


リナ(Lina)の顔から笑みが消え、凍りついていた。

 その瞳に、一瞬だけ、純粋で冷酷な殺意が宿ったのをアイペリは見逃さなかった。

 しかし彼女はすぐに自分を取り繕い、引き攣った笑みを浮かべた。

「だい、大丈夫よ、アイペリ(Ayperi)ちゃん。事故……だものね……」


一方のアルミル(Almil)は、一歩だけ後ろに下がり、自分には一滴もかかっていないピンクの泡を無表情で見つめていた。


その夜の「特別レッスン」は、当然中止となった。


そして、この混乱の極みにおいて、デカンのアナウンスがアカデミー全土に響き渡った。

――一連の不祥事の調査責任者として、王子カアン(Kaan)が任命されたのである。

アイペリの「ピンクの泡」大作戦により、アルミルの危機は回避されました。

しかし、ついに調査に乗り出したのは学園の黄金の貴公子、カアン。

影の暗躍と王子の知略。二つの視線が交差する時、物語はさらなる局面を迎えます!

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