表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

第5章:チェス盤

カエランの支配、そして学園に潜むもう一人の狩人。

アイペリとエルデンは、天文学の塔で次なる一手を練ります。

静かなる騎士アルミルとの意外な交流も……。影のゲームは加速します。

カエラン(Kaelan)、彼は小さな暴君ね」

 次なる密会で、アイペリ(Ayperi)はそう告げた。天文学の塔の床には、チョークでアカデミーの俯瞰図が描かれていた。

「けれど、小さな暴君は、より大きな暴君の先触れに過ぎないわ。彼のやり方、繋がり、そして弱点を徹底的に暴き出す必要がある」


エルデン(Erden)は目を閉じ、宙に浮いたまま答えた。

「望み通り、情報流をスキャンしました。カエランの財務上の不正は、赤子の手をひねるより容易い。しかし、興味深いのは規律レポートです。優秀だが『反抗的』とレッテルを貼られた生徒を、彼は組織的に退学させるか、あるいは謎の『特別教育プログラム』へと送っています。そのプログラムの公式な記録は存在しません」


アイペリは図の上に黒い石を置いた。それがカエラン(Kaelan)だ。

「つまり、レギオンにとって『不都合な者』を排除しているわけね。……では、他の『事故』については?」


「そちらは法則パターンを見つけるのが難しい」

 エルデン(Erden)は苦渋を滲ませて認めた。

「事件の間に直接的な魔術的繋がりはありません。一見、本当の事故のように見えます。しかし、統計学的にはあり得ない確率です。これは、私たちの『狩人』が極めて知的で、痕跡を残さない手法を使っていることを示唆しています」


アイペリは、カエラン(Kaelan)の石の隣に、リナ(Lina)を象徴するピンク色のクォーツを置いた。


【脳内モノローグ:二人の異なる狩人、二つの異なる手法。一人は騒々しい鉄槌ハンマー、もう一人は毒を塗った針。鉄槌は誰の目にも止まるけれど、針がいつ、どこから突き刺さるかは誰にも分からない。……リナ(Lina)の方が、遥かに危険だわ】


「いいわ」

 アイペリは現実に視線を戻した。

カエラン(Kaelan)があれほど騒々しいのなら、その騒音を逆手に取りましょう。エルデン(Erden)、彼の三大汚職と、明白に不当な扱いを受けた三人の生徒のファイルを準備して。ただし、生のデータとしてではなく、誰もが理解できる『スキャンダラス』な体裁でね」


エルデン(Erden)は深く頷いた。アイペリが何を画策しているのか、理解したのだ。


アイペリが自室に戻ると、机の上に一切れのパンが置かれていた。添えられた手紙はない。

 だが、誰からのものかは分かっていた。アルミル(Almil)だ。あの静かな騎士は、アイペリの「トラウマ」を気遣い、密かに食料を届けてくれているらしい。


(――ふふ、自分で仕組んだ陰謀が上手くいきすぎているわね。他人の同情を買うのは、相手の警戒心を解く最も簡単な方法。けれど、アルミル(Almil)……彼女は違う。そこにあるのは哀れみではなく、一種の……連帯感。まるで、彼女も何かを隠しているかのように)


アイペリはパンを齧りながら、次の一手を確信した。

 カエラン(Kaelan)を失脚させる工作は、同時にリナ(Lina)を罠にかけ、アルミル(Almil)の本質を知るための好機でなければならない。

 チェス盤は、既に整っていた。

戦略の要が固まりつつあります。アイペリとエルデンの暗躍は、学園にどのような嵐を巻き起こすのでしょうか。

次回、いよいよ「囁きの嵐」が吹き荒れます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ