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★大臣と所長の会話2


「配線だらけだな。引っかかって転びそうだ。私みたいな年寄りには優しくないな」

「整理しておきます」

「これがパクスプティコンというのか。ずいぶんとシンプルだ。MRIみたいだ」

「大臣の夢が叶うシステムです。ウィンストンというAIが搭載された人格矯正システム」

「人工知能は一つだけか?」

「複数の人工知能の塊です。ウィンストンがほかの人工知能を監視運営しています。特殊な脳波で五感を制御して、教育用のデジタル世界に自分の意識を転送し矯正します。デジタルの世界で人生を再履修させます。社会不適合者のロンダリングが可能になりました」

「洗浄か。一体どこまでできるんだろうな。ゴミはゴミだろうに。実用的な段階なのか?私は懐疑的だよ」

「大臣の納得いくものができています」

「断言するんだな」

「わざわざこんな僻地にお呼びしませんよ」

「それもそうだな」

「どうですか?我々が開発した装置は」

「…そうだな。もちろん素晴らしいと思うよ」

「?。システムに不安がありますか?」

「システムに不安はない。博士が作ったんだ。必ずできるのはわかっている」

「ではなぜ?」

「地獄に落ちるのが嫌なのかもしれない」

「意外ですね」

「そうか?」

「えぇ。死後の世界なんて興味がなさそうです」

「君も年を取ればわかるさ。現世とのつながりが欲しいんだ。死してなお生きていたいのさ」

「それが地獄でも?」

「あぁ。自我が残っていればいい。このシステムが稼働して地獄にくる人間が来なければ私は英雄になれたことがわかる」

「天国の場合は?」

「これの発案者が天国に行けるわけがないだろう」

「可能性はゼロではないですよ」

「あそこは私にとって居心地が悪そうだ」

「大臣にとって天国は地獄ですね」

「そうだな。苦しいだけなら政治家人生でもう慣れた。今さら地獄に行ったとて何も感じないだろう」

「地獄の底に現世が見えるディスプレイでもついているといいですね」

「君たちが開発してくれよ。金ならまだある。閻魔様も山吹色の菓子箱には目がないだろう」

「地獄の沙汰も金次第ですかね」

「そうだな。一番の同盟国(アメリカ)はそうだった」


ご覧いただきありがとうございました。

この物語は完結済みのため、添削でき次第投稿します。

次回も皆様とお会いできるのを楽しみにしております!

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