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★大臣と所長の会話

「こんなに広かったか?」

「新館建設とリフォームがありましたからね」

「そこまで優遇した覚えはないぞ」

「ご支援は大臣だけではありませんから」

「誰からだ」

「財閥です」

「だろうな」

「その調査も兼ねて来館されているのでは?」

「報告してもいいと思うがね」

「失念しておりました」

「すらすらと言い訳が出てくる君は議員に向いているよ。推薦状でも書こうかね」

「政界進出の予定はありませんよ」

「財閥からも声をかけられているのかい?」

「ありません」

「むこうの要望はなんだ」

「人材育成をお求めになっています」

「だろうな。奴らが妙に積極的だったんだ。金のにおいがしたんだろうな。あったことはあるか?醜い顔だろう。だらしのない腹に不相応なスーツを着てやってきたんじゃないか?」」

「私のほうから何も言えませんよ」

「奴らにはなんて説明したんだ?」

「社会から孤立させないためのシステム。人間から人形へ変化させるシステム。皆役者になり、幸せを得るのです」

「不自由を配役と言い換えるのか。ポジティブロンダリングだ。プロパガンダ用か?」

「えぇ。8050問題解決の触れ込みですね。財閥はそこから拡大していくのでしょう。刑務所、精神病棟。まだまだ非検体はありますからね」

「引きこもりは百万人くらいいるからな。彼らにとってはブルーオーシャン。両親にとっては最後の希望だろう」

「藁にも縋る人間はみな被害者でなくてはなりません。引きこもりは環境でも遺伝でもなく本人の努力不足が原因にしなくては」

「確かに心は痛まない。むしろ軽くなるな」

「リサイクルできるうちに手を施したほうが社会のためですよ」

「素敵な配慮だ。犯罪者予備軍がこの世から減ることを私は歓迎するよ」

「いいえ。高く見積もっても半減ですね」

「当初よりも下方修正だな。ならこんな回りくどいことしなくてもよかったんだ。危険因子はさっさと排除するべきだと思わんかね?あんな実験しなくてもよかったんだ」

「我々の努力不足です」

「法律の拡大解釈は苦労したよ。お金が必要以上に飛んで行った。君たちが求める検体の確保にね」

「その節は大変お世話になりました」

「その私だ。完全な形ではないが私の夢が叶う」

「気分がすぐれませんか?」

「なぜ?」

「顔色が悪いかと」

「…少しだけな」

「気になる箇所がありますか?」

「今更だ。ことさら私が言えることではないのは理解している。これは死よりも残酷なことではないか?」

「物の見方ではないですか?」

「これは彼らの権利を蔑ろにしてまで作らせた。こんなことを言うべきではないのは本当に理解しているんだ。今まで微塵も考えたことはなかった。今になって湧き出てきたんだ」

「おやめになりますか?」

「いいや」

「私みたいな被害者を生んではいけないからだ」

「そうでしたね」

「博士はどうしたんだ?」

「博士は死にました」

「大往生を遂げたか?」

「いいえ。悲惨な自殺です」

「…そうか。悲しいな。友人がまた一人減ったよ。」

「博士からの伝言を預かっています」

「なんだ?」

「『私は踏みとどまってしまうだろう。でも君は付き進め』だそうです」

「博士は私にすべてを押し付けたのか。ひどい人間だ」

「えぇ。本当にそう思います」

「パクスプティコンの意味を直接聞こうと思ったんだがね」

「平和を監視する機械だそうです」

「由来は聞いているか?」

「そこまでは聞いていません」

「監獄の中でしか人は平和を作れないんだな。とても残念だ」

「申し訳ございません」

「いや、いいんだ。人格矯正の過程はどのようになっているんだ?完成品は?」

「映像がありますので後ほど説明します」

「私の意志が変わらないうちに見せてくれ」

「変わるほど刺激的な映像ではないですよ」

「洗脳のプロパガンダだろ?影響は出てもおかしくない」

「これだけを見て洗脳できるなら大量の非検体は必要ないですよ」

「そうか。その彼らはどうなったんだ?」

「彼らとは?」

「引きこもりを千人以上連れてきただろう?」

「秘密事項です」

「心配する家族なんていないか」

「問い合わせはありましたよ?」

「そうなのか?限界の家庭を選んだんだがね。ノークレームノーリターンとはいかなかったか」

「今は家族仲良く同じ場所です」

「それはとても…うらやましいな」

ご覧いただきありがとうございました。

この物語は完結済みのため、添削でき次第投稿します。

次回も皆様とお会いできるのを楽しみにしております!

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