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第2話 運命の硬貨

 ここはブライト・アカデミー。中学部と高等部を備えた私立の寄宿学校だ。


 表向きは、穏やかな生徒たちが安心して学ぶ平和な学舎。少なくとも、外から見ればそう思えるだろう。


 日曜の校舎に、初夏の陽光が満ちていた。


 生徒たちは白い夏服に袖を通し、窓辺の風鈴が涼やかに鳴る。


 その下で、無精髭の音楽教師はこっそりとマッチを擦り、くしゃくしゃの煙草に火をつけた。


 もちろん学内は禁煙だ。煙を大きく吐き出し、携帯灰皿に押しつぶす。


「…どうかしてるな」


 小さく呟いて頭をかきむしる。風鈴の音に合わせて、白い煙は空にほどけていった。


 空、紺碧の初夏。煙はもう見えなくなった。


ーーー


 日曜の学内は比較的に静かで人影もまばらだ。


 生徒たちは休みの日でも、用事があって来てる者がいる。


部活だったり、自習だったり、補習だったり。


そして、校舎の屋上で何やら会議を行っている男女二人の生徒がいた。


「それで? 言い訳を聞かされても、解決しないと思うけど」


  男子生徒は女子生徒にそう言った。彼の名前はニコライ、苗字は…、悪いが失念した。


「すいません」


 女子生徒は謝罪の言葉を述べると、申し訳なさそうに俯く。


  彼女の名前はエレン・セルゲーヴィチ・ジャリーエフ。音楽の好きな中学部二年生である。


「いやいや、エレンさん。謝ってもらっても困るんだけど」


ニコライも困ったような顔をしてみせる。


「さすがにお金失くしてたってのは、俺もどうしようもないわ」


「それはなんとかしますので、少し待ってもらえませんか?」


  ニコライはぬるいため息を吐いた。


「そうは言うけどね、捜すにしても現金てのは出てきにくいし、新しく工面するにしても中学生にとっては大金だから、難しいと思うよ」


  エレンは心底落ち込んだ。というのも彼女が所属しているバンドのライブを行うために必要な軍資金を彼女の管理下で失くしてしまったのだった。


「いくら俺の顔がきいて安くなるといってもツケで借りるのはなぁ」


「そこをなんとか、なんとかなりませんか?」


「だから…」


  こんな調子をしばらく続けていた。


「なんだって言うんだ!」


  屋上に声が響く。ニコライとエレンは驚き辺りを見回した。


「さっきから、ごちゃごちゃと不毛な話し合いを重ねやがって」


 何やら声の主は御立腹の様子である。


「俺の午睡(ねむり)を妨げる輩は、どこのどいつだ!」


屋上出入り口のペントハウスの上から、学校指定の紺のジャージがはためく。


「おまえは…」


 ニコライ眩しそうにそのジャージを見上げる。


「ジョナサンの飼い犬のジャック・シェパード」


「だ・れ・が、飼い犬だ!」


ジャックと呼ばれた生徒はペントハウスから飛び降りると、二人の前に立ちはだかる。


とは言っても同学年と比べてとりわけ背が高いわけでもないので、迫力はそんなにない。


「とにかく、俺が先に来て使ってたんだから。おまえらは場所変えろ」


「使ってたって、寝てただけじゃねーか」


 男子生徒とジャックの言い合いになる。


「まあまあ、落ち着きましょうよ…」


エレンは一人冷静に場を収めようとする。


「確かに、人に聞かれるのは良くないな。場所を変えるか」


 男子生徒の気遣いにエレンは少し救われた気がした。


「ところで、なんのことで揉めてたんだ?」


 ジャックも落ち着きを取り戻し、質問をする。


「おまえは寝てろよ」


 ニコライが邪魔くさそうに返した。


「実は…」


「エレンさん、言わなくていいよ」


「でも、既に聴かれてるみたいだし、万に一つ何か知ってるかも」


  それもそうか、と思ったのかニコライは黙った。


 エレンが事の経緯を話し終えると、ジャックは合点がいったという顔をした。


「なるほど、そりゃあ、あんたが悪いわ」


「まあ、そうなんですけどね」


「そう、金の話なんで、首を突っ込まないでもらおうか」


 ニコライはさらっとジャックをあしらおうとする。


「いくら失くしたの?」


ジャックは気にせず話を続けた。


「10万源※」

※(源、この世界での通貨の単位)


「それっぽっち、すぐ作れるだろ」


ジャックの発言にエレンはあっけにとられる。


「え、十万ですよ、十万。大金じゃないですか?」


「いくらでも、稼ぎようはあるだろ」


「適当なこと言うなよ」


  ニコライも半ば呆れている。


「うーん」


 ジロッといやらしい目つきでエレンを見ると、下卑た笑みを浮かべるジャック。


「おう、あんたパンツ売りんさい」


「え?」


キョトンとするとエレン。


「バカ!」


ニコライは思わず手が出た。


「おっと」


 容易く避けるジャック。


「落ち着けよ、つまりだ。金策の手段なんか選ばなければいくらでもあるということが言いたかったんだ」


ジャックは取り繕った。


「で、でもパンツなんか売れるんですか?」


「相手にするなって」


ニコライは頭痛がしてきた。


「ああ、あんたならちょっとモザイクかけて顔だして売れば、ひと財産築けるよ」


「うーん」


「悩むの⁈」


  エレンは5秒ほど悩んだ。


「でも、それだと退学になりませんか?」


「大丈夫!大丈夫!責任持って、こいつが嫁にもらうんで」


「俺が⁈」


 ニコライは付き合いきれないという様子で、頭を抱えた。


「冗談はさておき、見つかるまで待ってくれるのもダメなのか?」


  ジャックもこれ以上話が脱線するのも嫌になったのか、話題を修正した。


「ダメだな。先方にも都合があるし、俺もそこまではできない」


「はー、ケチだね」


「もう…、いいです」


 エレンは絞り出すように言った。


「二人ともありがとうございました。私のせいでお手数かけてしまいまして、すいません。あきらめてメンバーのみんなに謝ります、もう気にしないでください」


エレンはそう言って去ろうとした。


「まちなよ、ここまで口を挟ませてもらって何もしないのも心苦しい」


 ジャックは持ってまわった言いかたをする。


「もう、これ以上話をこじらせないでくれ」


「いや、こじらせるぞ。そうだな、俺が十万出そう」


 ニコライとエレンは驚きとも呆れとも判別できない表情を浮かべた。


代弁するなら「マジで!?」といった様子だろうか。


「ただし、俺が提案するゲームで俺に勝ったらの話だ」


「エレンさん、行こう」


「待てって、勝負するのは俺とおまえだ」


ジャックはそう言って自分とニコライを指し示す。


「え、俺?」


「そう、俺が負ければ十万だす。あんたが負けたら、なんとか待ってもらうように先方にかけあうっていうことでどうだ」


 ニコライは少し戸惑った。


「いいのか? それで」


「どっちに転んでも、エレンさんだっけ? が得する話だ」


「ダメですよそんなの。逆に困ります」


「まあまあ、ただ俺がそうしたいだけだ」


  ジャックは慌てて止めるエレンをなだめる。


「どうして、そこまでしてくれるんですか?」


「人を助けるのに理由がいるかい?」


 などとのたまっているが、本当に助けたかったら黙って十万差し出せばいいのである。


ジャックは単に勝負事(こういうこと)が好きなのだ。


「まあ、話だけでも聞こうじゃないか。どういうゲームで決めるんだ」


  ニコライは乗り気になってきた、彼の場合、例え負けても待ってもらうよう頼むという努力事項だから、ダメージは少ないと判断したのだろう。


 ジャックは硬貨をどこからか取り出し、コインロールで弄ぶと、親指で弾いてコイントスをした。


「裏か表か、さあどっち?」


「裏」


  とニコライが反射的にこたえた。


「当たりー」


ジャックが右手をあけると、左手の甲でコインが裏を出していた。


「これ(コイントス)で勝負だ」


コインを弾いて、手の甲で受け止め、もう一つの手で蓋をする。そのコインが表か裏かを当てるという、なんともシンプルなゲームである。


「完全に運ゲーだな、一回勝負で決めるつもりなのか?」


 ニコライは、もうすっかりやるつもりだ。のせられやすい男である。


「十回勝負だ。当てた回数が多いほうが勝ち、そして、イカサマ防止のためコイントスはエレンさんにやってもらう」

 

  ジャックはそう言って、コインを弾いてエレンに渡した。


「え、私?」


「やってくれエレンさん」


ニコライも頼む。


「わかりました、ちょっと練習させてください」


ジャックが行なった手順を真似して、コインを指で弾き、手の甲で受け止める。


慣れていないせいで、最初は少し失敗して、床に落とすこともあったが、それほど難しい動作ではないので、すぐにできるようになった。


「準備オーケーです」


  エレンも最初は反対していたくせに今ではやる気満々だ。


  すっかりジャックのペースである。


一投目、弾かれたコインが回転して宙を舞う。宙空にあるコインは重力に引かれエレンの左手の甲に落ちる。その上からパシッと右手を重ねた。


「あー、ちょっと待った」


 ジャックが口を開きかけたエレンを制した。


「発言の順番を決めていなかったな、最初に予想を言う人間を交互に変えよう。そっちの方が公平性が増すだろ?」


 このルールで心理的な公平性を保つだけでなく、相手の予想を参考にした上で自分の予想を言うことがゲームを制するのに重要になってきた。


「じゃあ、最初はニコライが言っていいよ。次は俺が先に予想を言うから」


「わかった、俺は裏だ」

 

  ジャックは、それを聞いて薄く笑った。


「俺も裏で」


 エレンが手をあけると、そこではコインが表を出していた。


「二人ともハズレです」


「残念だったな」


 ジャックはあの薄笑いを浮かべたままニコライにそう言った。


「おまえも外してるじゃん、笑うなよ」


「笑ってた? 失礼」


 二投目。


「表」


ジャックは間髪入れずに答えた。


「裏だ」


ここで、ニコライはジャックと反対の予想をした。


「表です」


二投目はジャックが当たり、ニコライが外した。


「コイントスってのは不思議だよな。俺の経験上、こういうことをする時に限って、同じ面が続けて出る」


ジャックは何かを思い出している様子でそう言った。


「…」


  ニコライは返す言葉もなかった。


 三投目。


十秒程何かを考えた後、ニコライは口を開く。


「裏だ」


 それを聞いたジャックは、なぜか嬉しそうだった。


「表」


「裏です」


 ニコライの予想が当たった。


 ニコライは 安心した様子を悟られない様に、ゲームの進行を急かした。


「次だ、次」


四投目。


「表」


とジャック。


「…表」


 ここでハズレて差がつくのを嫌ったのか、ニコライはジャックと同じ面を予想した。


「表です」


 汗ばんだ額を拭うニコライ、はやくも余裕はなくなった様子である。


「やるじゃん」


対照的にジャックは涼しい顔をしている。


  まるで、自分が負けることなど、鼻から頭に無い様子だ。


  五投目。


「裏だ」


 ニコライは表表裏表ときたので、確率的に裏が出るだろうと予想した。


「俺も裏で」


「表です」


  両者とも外し、この折り返し地点で2対2。


 六投目。


「裏」


  そう言って、ニコライに目を向けるジャック。


「裏」


  ジャックも裏と予想。


  この時、ニコライは先程の同様に差がつくのを嫌ってジャックと同じ予想をしたわけではない。


表表裏表表ときたので、これもいわゆる確率的に裏だと予想したのだ。


「裏です」


両者とも当たり、3対3、差はつかず。


七投目。


「…裏だ」


 裏と予想したニコライ、これも先程の出目を踏まえた上での予想である。


  二分の一の丁半博打である限り、ニコライには確率論以外にたよる術はない。


 他に見出すとしたら、あてにならない直感という細い糸だけだ。そして彼は自分の直感を信用していなかった。


「表」


  ここで、ジャックは表と予想。


「ニコライさんよー、場は表によってるぜ」


  確かに、ここまで表が四回の裏が二回で、表が多く出ている。しかし、ここでまた表が出るなどと言う保証はどこにもないのだ。


  果たして結果は…。


「表です」


後半戦での1点差、この差は負けてる側の精神に大きな負担になる。


  ニコライの背中に一筋の汗が伝っていった。


  八投目。


「表」


  なんの躊躇いもなく、表と予想するジャック。


  もし、ここで表が出れば八回中六回表が出ることになる。


「裏だ!」


 しかし、そんなことはあってはならないと言う様子で確率論に固執するニコライ。


  結果は。


「…表です」


 なんと六回目も表、5対3。ジャックが2点リード。


「マジかよ…」


  打ちひしがれるニコライ。


「追加ルールしていい? もし同点で十回目を迎えたら、先に1点リードした方が勝ちってことで」


  異論などあるはずがない。

 

  それよりも、この様なありさまになったことにニコライは絶望していた。何という逆境、 もし、次で的中させても、ジャックも的中していたら勝負はついてしまう。


 そして、ニコライの脳裏では、関係者各位に頭を下げて無理をお願いする自分の姿がよぎった。屈辱的である。


 絶望している自分を別にして、脳は様々な可能性を探す。まだ、ニコライの思考は勝ちをあきらめてはいなかった。


まず、考えられたのはイカサマの可能性、ジャックは自分が先攻(先に予想する)時は一度も外していない。


なんとか、逆に利用できないものだろうか。


しかし、そこまでつきとめるまでには時間が足りなかった。


九投目。


「…表だ」


ニコライは少し長く考えたあと、表と予想した。

確率論に頼ることをやめ、自分の直感という細い糸を地獄の底から手繰り寄せる。


「裏で」


ジャックは嬉しそうにニコライを見ている。


「表です」


なんと七回目の表、ニコライは首の皮一枚繋がった。


「ここに来て一皮剥けたな」


笑顔でニコライを祝福するジャック。


「うるせーよ」


ニコライは憎々しくジャックにこたえた。


十投目。


「表」


これまた即答するジャック。


「表」


ニコライも表を予想。この予想は確率論でも直感でもない、こいつ(ジャック)は当てるという確信からだった。


「表です!」


なんと十回中八回が表という凄まじい表場。しかし、ジャックのイカサマはまだ暴けない。


その後、十一投目では流石に表は出ないだろうと裏と予想したニコライに対しジャックは表と宣言。


結果、十一投目も表が出てニコライは破れた。


結果を見たジャックはぼそりと呟いた。


「まさか、十一回中九回も表が出るなんてな」


ニコライにとってジャックの発言全てが白々しく聞こえてきた。


「それ(硬貨)を見せてくれ」


  エレンから硬貨を受け取り、何か細工がないか探すニコライ。


  しかし、怪しいところは発見できなかった。なんの変哲も無い五百源硬貨である。


「まあ、そういうことで少し骨を折ってもらうことになりましたわ」


  ジャックが憎たらしげにニコライに詰め寄る。


「寄るな!」

 

  ジャックに硬貨を投げつける。


 思いっきり投げつけたが、ジャックは造作も無く受け取り、硬貨を弄る。


「おまえ、イカサマしてただろ?」


どうしても我慢できずに問い詰めるニコライ。


「は? どうして」


「あんなに、表によってる場を続けて的中させるなんてのはおかしい」


「勝負が終わってからゴネられてもね、そんなの後の祭りですよ」


「クソッ、こいつ…」


「仮に、俺がイカサマしてたとしても破る方法なんていくらでもあったと思うけどな」


「なんだと」


 その時、ニコライの目の端に申し訳なさそうなエレンの姿が映った。


「エレンさん、とりあえず話すだけ話してくるよ」


「いいんですか?」


「…約束だったからな」


  何故かいたたまれなくなり、足早に屋上から出て行こうとするニコライ。


「また、遊ぼーな」


 ジャックの声が聞こえたが、無視して屋上から退散した。


 その帰途、ニコライは悔し紛れにイカサマについていろいろと考えを巡らせているうちに最悪のシナリオが浮かんだ。


 それは、最初からジャックとエレンが仕組んで自分を嵌めたという仮説。


 ジャックが屋上で寝ていたのも、偶然ではなく全て前もって準備していたとしたら。


 コイントスをしたエレンが、なんらかの方法で表裏を確認し、ジャックにサインを送っていたとしたら。

 

  ニコライはそこで考えるのをやめた。


  あの、天然エレンがそんな狡知に長けているとは考えられないし、何故だかジャックもそこまで悪気がある奴には見えなかった。


「これは…、人間不審になるな」


 そう独り言ちて、ニコライは自分の部屋に帰っていった。


ーーー


 再び屋上、ジャックはまだ硬貨を弄っている。


 コインロール、マッスルパス。コインマジックは一通りできるのではないだろうか。


「楽しかったな。見たか、あいつの顔、途中で覚醒したと思ったんだけどな」


 そう言って、エレンに硬貨を弾いて寄越した。


「ちょっと、気の毒でした」


 エレンは硬貨を受け取り、眉を八の字に曲げ、申し訳なさそうな表情を顔に浮かべる。


「そう気に病むなって、あいつも乗り気だったし」


「そうですか…」


ジャックは、いまさら、午睡(ひるね)の時についた砂埃が気になったのか、学校指定のジャージ上位とスラックスを払った。


「それにしても、あんなに表が出ているのによく、続けて当てられましたね。やっぱり、勝負師としてのセンスですか?」


 気にするなという言葉を真に受けて、気にしていない素ぶりを見せようとしたのか、エレンは茶化してそう言った。


「は? 何言ってんの」


  ジャックは冷たい視線をエレンに向ける。


「あんな場予想できるわけないじゃん。イカサマしたに決まってるだろ」


「ですよねーって、え! イカサマしてたんですか?」


「当たり前だのなんとかってね」


ジャックが妙な言い回しをする。


「どんなイカサマなんですか? どのタイミングで、どんなメカニズムでやってました?」


 エレンが知る限りでは、硬貨には細工は無い。ゲーム中はずっとエレンが持っていたので入れ替えるタイミングはなかったはずだ。


「そんなん教えるわけないだろ。あいつ(ニコライ)もなんかしてるのは気づいてたみたいだけど、多分、どんなカラクリかまではたどり着けんよ」


 呆然とするエレン、世の中にはこんな人種もいるんだと驚かされていた。


「さて、今日は勝負も勝ったし、外禁(外出禁止のこと)も解けた最初の日曜日だし。街に繰り出すか」


  そんなエレンを尻目に、爽やかな表情で屋上から街を臨むジャック。


「今日は完璧な休日だな」


  街へ出かけようとした、その時、一つの校内放送が入った。


「二年D組のジャック・シェパード。速やかに教室に戻るように、まだ補習が残ってんぞ、繰り返す…」


  繰り返される恥ずかしい連絡。


「まったく、完璧な休日だよ」

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