morning - encounter
気づいたときにはもう彼は駆けだしていた。
数秒遅れで私も走り出す。
階段を下り、渡り廊下を渡る。
まだ人魂を見つけてからそんなに経っていないのに、さっきまで人魂が存在していた廊下にはなにもなかった。
「どうゆうこと???」
私はひたすらに困惑していた。
さっき言っていた七不思議の一つが今ここであった!?
それってつまり………
「少し静かにしてくれないかな?」
なんでこうデリカシーがないのかな!!!…… あれ?
図書室のときのようなヘラヘラした顔でなく、なにか怒っているように見えた。
彼は一体どうゆう人間なのだろう?
そんなことを考えていると、私はあるものを見つけた。
「これは………なんだろ???」
彼も私と同じものを見つけたようだ。
暗くて気づけなかったけど、よくよく見てみると、至る所にそれが落ちている。
真っ黒な粉のようなものが。
「今日は、帰ろう」
彼が言う。
「どうして??まだなにかあるかもしれないよ?もう少し探そうよ」
そう提案すると、
「帰るんだ!!!」
驚いた。けっして彼が怒鳴ったからではない。彼の眼がとても哀しい眼をしていたからだ。
こんな顔もするんだ………。
__________________________________
翌朝、早めに登校し、生徒会室を覗いてみると……
「入りたいなら入れば?」
「キャーーーーーーーー!!!」
突然後ろから肩を触られた。
「……そんなに驚かなくても良いと思うんだけどなぁ。少し傷つくよ?」
後ろを振り返ってみると、七三分けのいかにも優等生!という風貌の男子がいた。
「ご、ごめんなさい」
「いやいや、こちらこそ驚かしてごめんね」
すごく穏和な人だ。この人も生徒会なのかな?
「ねえ、もしかして、七瀬春菜ちゃん?」
どうして私の名前を知っているんだろう……。
黙っていると、七三分けは肯定と受け取ったらしい。
「やっぱりそうか。君、伊吹のお気に入りでしょ?あ、俺は副会長の小林 潤。
よろしくね、春菜ちゃん♪」
「よ、よ、よろしくお願いします……」
お気に入り!?っていうか伊吹って誰?
そんなことを考えていると、ふいに生徒会室のドアが開いた.
「そんなところで立ち話されると迷惑なんだけど?」
会長が本当に迷惑そうに呟く。
「ごめんごめん、伊吹」
えぇぇぇぇ、伊吹って会長のこと!? 似合わなさすぎる……。
「下の名前で僕を呼ぶな」
いつもより数倍不機嫌そうな顔をする……。
「えーと、あの、その、昨日の話をしにきたんだけど」
この空気に耐えられず、話をそらすことにした。
「ああ、そのことか。今日は教師に聞き込むから。以上。遅刻する前に教室へ行け」
「なによ!そんな言い方しなくても良いじゃない!」
「そうだよ。伊吹、女の子は大切に扱わないと」
小林とかいう副会長も加勢してくれる。
「それは無類の女好きのお前のポリシーだろう?」
え゛?七三分けで優等生顔の女好きって……。いや、確かによくよく観察すると格好いい。
さわやか系かな?
「ほら、春菜ちゃんが誤解しちゃったじゃないかー」
もうどうにでもなれ……
「とりあえず、教室に戻れ!僕は仕事の続きがあるんだ!」
会長は真っ赤な顔をして、ドアを勢いよく閉めた。
可愛いところもあるじゃん。