表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

morning - encounter


気づいたときにはもう彼は駆けだしていた。

数秒遅れで私も走り出す。

階段を下り、渡り廊下を渡る。

まだ人魂を見つけてからそんなに経っていないのに、さっきまで人魂が存在していた廊下にはなにもなかった。

「どうゆうこと???」

私はひたすらに困惑していた。

さっき言っていた七不思議の一つが今ここであった!?

それってつまり………

「少し静かにしてくれないかな?」

なんでこうデリカシーがないのかな!!!…… あれ?

図書室のときのようなヘラヘラした顔でなく、なにか怒っているように見えた。

彼は一体どうゆう人間なのだろう?

そんなことを考えていると、私はあるものを見つけた。

「これは………なんだろ???」

彼も私と同じものを見つけたようだ。

暗くて気づけなかったけど、よくよく見てみると、至る所にそれが落ちている。

真っ黒な粉のようなものが。


「今日は、帰ろう」

彼が言う。

「どうして??まだなにかあるかもしれないよ?もう少し探そうよ」

そう提案すると、

「帰るんだ!!!」

驚いた。けっして彼が怒鳴ったからではない。彼の眼がとても哀しい眼をしていたからだ。

こんな顔もするんだ………。


__________________________________



翌朝、早めに登校し、生徒会室を覗いてみると……

「入りたいなら入れば?」

「キャーーーーーーーー!!!」

突然後ろから肩を触られた。

「……そんなに驚かなくても良いと思うんだけどなぁ。少し傷つくよ?」

後ろを振り返ってみると、七三分けのいかにも優等生!という風貌の男子がいた。

「ご、ごめんなさい」

「いやいや、こちらこそ驚かしてごめんね」

すごく穏和な人だ。この人も生徒会なのかな?

「ねえ、もしかして、七瀬春菜ちゃん?」

どうして私の名前を知っているんだろう……。

黙っていると、七三分けは肯定と受け取ったらしい。

「やっぱりそうか。君、伊吹のお気に入りでしょ?あ、俺は副会長の小林こばやし じゅん

よろしくね、春菜ちゃん♪」

「よ、よ、よろしくお願いします……」

お気に入り!?っていうか伊吹って誰?


そんなことを考えていると、ふいに生徒会室のドアが開いた.

「そんなところで立ち話されると迷惑なんだけど?」

会長が本当に迷惑そうに呟く。

「ごめんごめん、伊吹」

えぇぇぇぇ、伊吹って会長のこと!? 似合わなさすぎる……。

「下の名前で僕を呼ぶな」

いつもより数倍不機嫌そうな顔をする……。

「えーと、あの、その、昨日の話をしにきたんだけど」

この空気に耐えられず、話をそらすことにした。

「ああ、そのことか。今日は教師に聞き込むから。以上。遅刻する前に教室へ行け」

「なによ!そんな言い方しなくても良いじゃない!」

「そうだよ。伊吹、女の子は大切に扱わないと」

小林とかいう副会長も加勢してくれる。

「それは無類の女好きのお前のポリシーだろう?」

え゛?七三分けで優等生顔の女好きって……。いや、確かによくよく観察すると格好いい。

さわやか系かな?

「ほら、春菜ちゃんが誤解しちゃったじゃないかー」

もうどうにでもなれ……

「とりあえず、教室に戻れ!僕は仕事の続きがあるんだ!」

会長は真っ赤な顔をして、ドアを勢いよく閉めた。

可愛いところもあるじゃん。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ