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プリンター機能

作者: くよこよま

 私たちの頭には、小さめのプリンターのようなものがついています。これは、私たちが体調不良の際、原因を印刷してくれるのです。

 例えば、私は今お腹が痛いとします。原因はわかりません。こういう時です。頭に原因をプリントしてほしいと頼みます。プリンターの部分に紙をセットし、印刷されるまで待ちます。これで、私の腹痛が食べすぎであることや、この食品の消費期限が切れていて、食中毒かもしれません。など、様々なことを回答してくれます。

 では、紙をセットする必要があるなら、インクはどうするのか?というと、これはまだ、詳しく解明されていないので、偉い人や頭の良い人の憶測なのですが、私たちが食べたものの色素でどうにかしている。と言われています。数日前に食べたナポリタンや、お菓子に入っている着色料。これらをインクとして原因をプリントするときに体のどこかにためて、いざという時に使うのです。


 次に、素晴らしい点です。この機能のおかげで、病気の早期発見ができたため、特定の病気の罹患者数が減ったのです。さすがに、感染症はどんなに対策をしていても、感染するときは、感染してしまうので、あまり減らせてはいませんが。


 次によくない点です。一つの例にしかなりませんが、母親は一度、突然頭痛が来るという経験をしたそうです。長い時間、ズキズキとくるようなものではなく、前触れもなくズキッとくるのが一日に何回かあったそうです。なので、初めて紙をセットして、印刷してみたそうです。でも、原因はわからなかったということです。

 私は先ほど、例として腹痛では食べすぎが原因などを挙げました。でも、母親はわからなかったと。自分ではわからないことでも、内臓たちはよくわかっています。それは、沈黙の臓器とも呼ばれる肝臓の病気でさえも、早期発見できるほど、優秀なものなのです。


 ではなぜ、私の母親は原因がわからなかったのでしょうか。


 私は母親に、腹痛や頭痛のたび「薬で解決できるなら、薬で解決しなさい。プリンター機能は、できるだけ使わないように。」と、印刷は最終手段のように聞かされてきました。

 母親がいないときに、お腹が痛くなったので、薬を飲もうとしたのですが、どうしても印刷してみたい。という気持ちになったのです。なので、頭に紙をセットし、機能を使ってみたのです。そうすると、印刷された紙はどうでしょう。


 字が読めません。


 字が汚いとか、私が字が読めないとか、そういうことではありません。言語が違うのです。私たちが日本語を使うのならば、私たちの内臓たちは、教科書では学ばないし、出てもこない国の、大昔からあり、現在は衰退に進んでいる、後継者もいないような村でしか使われていない、独自の言語といったところでしょうか。文章を見る限り、ローマ字で言うと、「KA」で「か」と読むように規則のようなものは見つけられますが、そもそも、内臓たちの言語なんて教えてもらうこともなければ、調べるにも難しすぎるため、知ることができません。母親が頭痛の原因がわからなかったのも、最終手段として使わせないようにしていたのも、納得でした。


 では、私たちのプリンター機能は不必要なのでは?と思うでしょう。私は何回も思いました。ですが、この内臓たちの言語というのは人によって違うのです。例で出した腹痛や、罹患者数が減ったというのは、奇跡的にその人の内臓の言語が読めるものだったために、原因が分かったというだけなのです。私の内臓たちの言語はどこかの衰退村の独自の言語と表しましたが、母親のを読むと、まだ私のよりは理解ができそうで、ギリギリ理解できない。という文章でした。形は英語に少し似ていましたが、記号のような文字も入っていたため、解読が不可能でした。

 同じクラスの人にも頼んで、腹痛の時に印刷をしてもらいました。三人だけですが、三人とも言語が違いました。全て数字のような人、記号と日本語のような文字が混ざった人、速記と記号と英語のような文字が複雑に混ざった人。どれも解読不可能です。誰も読めません。


 結局、この機能を使う人はいないのです。いても、自分の内臓の言語が、読めるものである人だけなのです。高い木の葉を食べるため、首が長く伸びたキリンのように、私たち人類のほとんどがこの機能が不必要だと考え、使用することがなくなれば、何世紀か後の人類には、この機能はなくなるでしょう。それか、内臓たちの言語がわかる超能力者が生まれることや、どんな内臓の言語でも、翻訳できる何かが開発されることを望みたいところです。

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