第十三話 対あり
催促があったから作ったよ。
「見てろよ見てろよ!!」
そう叫んだや否や、俺の全身は熱を帯び、先程のバフ“いい世!来いよ!”に似た感覚を覚えた。自己バフが2個、重複するならどこまでステータスを伸ばせるのか気にはなるけど、それは後でいいや...
「そういやお前の名前、聞いてなかったな...」
目の前の受験者達を凝視し、警戒の姿勢を崩さないカイルが、背中越しに聞いてきた。
あー、俺名前言ってなかったか
「ワイ氏、シンと申すンゴ」
「どこまでもふざけた野郎だな。...シン、手ェ貸せ」
カイルの瞳が若干揺らいだのが見えた。恐らくこれまで、カイルはほぼ自力であらゆる危機を打開してきたのだろう...
今のカイルをカイルたらしめている要因がその絶対の自信だ、慢心って言ってもいいその自信は、俺に挑み敗れたことで焦燥感へと変わったのだろう。自分を負かした相手に手を貸してほしいだなんて、カイルみたいな性格のやつは絶対的な屈辱以外ないだろう、それでも、プライドを捨ててでも共闘の申し立てをしてきたカイル...目的は一緒だな。俺たちは、この学園に合格するためにこの試験を受けてんだから...
「いやぁ丁度いいね、ワシも満身創痍だから...お前が居たら百人力だな」
「...ッ!」
カイルは瞳をカッと見開いた。
満身創痍の身体からは考えられないほど力強く、抉り出すほどの膂力で地面を踏み込んだカイルは一気に受験者たちに斬りかかった。真正面からの正面突破に、俺は思わず唖然とした。
「ぬぁ⁉何を四天王⁉」
「悪いが俺はこういう戦いしか知らねぇ!獄炎震斬!!」
他の受験生に向かって繰り出したこの技は、付近への衝撃波が凄まじかった...!皆その場で伏せることしかできないほどの衝撃波を放つこの技、力任せの戦い方の真骨頂と言わんばかりだが、なんだろう...
あまりの脳筋ぶりに、まるで自分を見てるみたいだった。...たぶんジョンソンとかはこんな気持ちなんだろうな、ってふと思った。ふぅ、反省反省。
...だがカイルの戦いはかなり助かった。奴から繰り出される大振りの一撃は、敵の意識をカイルに集中させ、俺自身が自由に動ける隙を作ってくれていた。「見てろよ見てろよ‼」によって底上げされたステータスを先程と同じく「スピード」に全ブッパし、奴が巻き上げた土埃に身を紛れさせながらカイルが取り逃がした受験者を一人、また一人と切り伏せていく...
「お前で、ラスト‼」
周囲の受験者を一人残らず、俺とカイルは倒した。二人そろって満身創痍になった俺たちはここからの記憶がない..............
―――――――――――試験から二日後...
「んぁ...?知らない...天井だぁ...」
物静かな部屋、等間隔に置かれているベッドの一つに、おれは伏せていた。
付近からは何の花かはわからないけど、いい香りがふんわりと漂っていた。おそらくはお香だろう...とてもリラックスできる香りだ。に・し・て・も‼
「痛ェ...体動かねぇ...」
「そりゃ、ボロボロだったからな。」
「!?(MH4Gのモンスターに見つかった時のBGM)え、なんでおるんジョンソン...」
「いや試験終わったら合流するだろ記憶ない感じ?」
「え全くない。普通にどゆこと?」
ジョンソンの話はこうだ、俺は受験を無事通過したらしい(俺と共闘したカイルも同様に)。
だが、傷の容態が思ったより芳しくなく、試験終了後そのままこの医務室に連れてこられたそうだ(当然カイルも)。ジョンソンは目立った傷もなく、ミランダと一緒に試験をクリアしたのち、俺の状況を聞いて見舞いに来てくれたとのこと。そして俺は試験終了から丸々二日、神官様にヒールを施してもらっていたんだと...
「マジでもう体動かせん、普通にイキそう」
「実際逝きかけてたからな、バフか何かの反動が思ったより強かったって神官も言ってたし、結構きつかったっぽいな」
「いやほんとに参った。だって俺あのカイルと真正面からやり合ったんだよ!?」
「えガチ?なんで骨になってないんだよ」
「なんで寂しそうなんだよ」
「草」
あぇ?てことはワシらは今期のアンテイル魔術学園の特待生として入学できるんだ?え待って異世界の?しかも特待生?普通にワクワクするんだけど
えやっぱなんだろう、ハリー〇ッターみたいに魔法の授業とかできちゃう??なんかめっちゃでっかい大学っぽい教室とかなんかな~
え待ってバカ楽しみ。
「おいジョンソン‼俺ら異世界の学園の生徒なんだぞ‼」
「いや、シン、俺もクソ楽しみ」
「おい部活何があるか予想しようぜ笑」
「バスケ部とか」
「夢無さ過ぎだろ。」
入学準備とかもあるだろうし、これから忙しくなるだろうなぁ~^^
――――――――学園内のとある部屋...
アンテイル魔術学園の部室棟...この棟の三階のとある一室、室内は薄暗い雰囲気で、どんよりとした空気が漂っていた。
魔法道具がそこらに積み上げられている部屋の床に、一際異彩を放つ魔法陣が描かれていた...そしてその魔方陣の前に、一人の学生が座り込んでいた。
「お願い...お願い出てきて...私を...“助けて”」
やっと試験編書き終わった。ボリュームねぇな




