第十二話 あ、こっちでもこれ見るのね?
あー疲れた
ミランダさんの助力もあって順調に試験を進めているジョンソン...その一方。
「あぁ...漁夫かァ」
絶賛絶対絶命のシン。
はーいもう無理無理。だって体動かねぇんだもん。
カイルの一撃がかなり効いてる、正直左腕は肩から先の感覚がない...
「お前もカイルも満身創痍だなぁ??お前らがお互いに潰しあってくれて助かったわwww」
「確かに、お前らの戦いぶり見て正直勝てねぇって思ったわ笑」
皆口々に勝利を確信したかのような口ぶりだった...どっちにしろこのままだったら袋叩きで終いになっちゃうし、
「初級回復して、っと」
「チッ、回復持ちかよ...まぁいい!」
血気が盛まくっている受験者たちがほぼ一斉に距離を詰めてきた...!!
皆口々に攻撃スキルを詠唱し始めた。カウンター系のスキルでも俺のは対一を前提に習得したやつだ、対多数では捌ききれない...
「えーっと...どしよかな...うーむ」
「熟考してる暇なんざねぇーからな!?その無駄に回した脳みそ、あの世で火葬でもしてやがれ!!炎山斬!!!」
「貌朴炎煉!!!」
「風霊曼蛇!!!」
鋭く研ぎ澄まされた剣術・剣技スキルが自身の周りを囲うように襲いかかってきた...
なんか難しそうなこと言ってんな?四字熟語かよ
ただ広範囲に及ぶうカウンター技がないのは事実で、ぶっちゃけマッズイ☆
...けど
「...速度を上げりゃ行けるか??」
「何ブツクサ言ってやがる!?」
そうじゃん、一度にできないのならその時間内に複数回カウンターを決めればいいんだし、実質的な対一状況が作れる。
そうと決まれば!
「良い世来いよ!!!」
先程も使ったバフを再度使用、でも今回は一味違う。
「またそのバフかぁ!?もう遅せぇよッ!!」
このバフについて何も知らないわけではない、さっきカイルと戦ってる時にちらっとステータスを覗いていたんだ。俺のステータスは全体的にプラス5レベルアップしてた状態だった。arkと同じレベリングしようであった場合、ポイントの振り分けは自由!!
ステータス項目7つにそれぞれ5ポイントずつ、それら全てのポイントを「スピード」に全ブッパ!!
「これで終いだぁぁぁぁああああ!!!!」
「くたばりやがれぇぇぇええ!!」
「キェェエエエエエエエ!!!」
刃が額に届きそうになった瞬間、俺の周りには...見慣れない電光が散った...。
空気と俺の刀が凄まじい速度によって摩擦で電光が散っていたのだ。
神速とも言えるこの速さを手にした...これなら、カウンターを連撃できる!
「煉息の反巧...!」
即座に握り直した刀で、斬りかかってきた受験者達を次々に切り伏せる、人が抱えるには大きすぎるステータスであることは自覚している。この調子が長くは続かないことも明白だった。
「なんだこいつ!?急に速度が...いや、見えねぇ!?」
「クソがッ!!漁夫を狙えると思ったのに...ッ!?グアッアァ!!」
斬りかかってくる相手には次々とカウンターを仕掛け、斬りかかってこない相手には自分から攻撃を仕掛けた。
これは諸刃の剣だ。使用者のステータスを上昇させることができるが、これが切れたら俺はきっと疲労感で動けなくなってしまう。そうなってしまう前に、脅威になりうる受験者を無力化し、残りの試験時間を無事に乗り越えれそうな安全な場所まで後退しなければ...
焦燥感からか、それともヒールが間に合っていないのか、体が徐々に動かなくなってきた...視界もぼやける...これ、酸欠じゃね?
呼吸が間に合わないんだ、それに動きが早すぎて空気抵抗でまともに呼吸もできない...コォレまずいです。
「ッ!?...痛ってッ」
思考が呼吸に取られすぎた。勢い余ったまま、俺の体は近場の岩に激突してしまった。全身が重いし、それにかなり疲れた。
受験者たちは続々と俺の元に駆け寄ってきた。
...死んだンゴ。
腕すら上がんねぇ。ヒールしたくても魔力回復するまであと数分、いや数十秒で足りる。足りるけど、間に合わなそう。
死ぬ間際の人間は直前に空を仰ぐ傾向にあると誰かが言ってた気がする。そんなどうでもいい記憶を気にかけるなんて、これが走馬灯ってやつかな...まじで死にそうでシヌッ!!
恐怖で目を思いっきり瞑ったまま、死が近づいてくる感覚に身を委ねてしまっていた。
「死ねやァァァァあああ!!」
怒号とともに振りかざされた剣が、俺の頭目掛けて振りかざされ...あれ?
斬られてない...?恐る恐る目を開けると、俺へ向かっていた剣を受け止めるかのように1本の剣が俺の前に姿を現していた。その燃えるような紋様が彫られた巨大な大剣には、見覚えがあった。
「クソ野郎...共」
「...マジか、お前...カイル」
怪我的に動けるはずもなく、他の受験生から後回しにされていたのもあったのか、カイルはいつの間にか気絶から回復していた。
「ヒールくらい、俺でも...使えるんだよ...」
「あ、あぁ」
それよりもなんで助けた?この試験じゃ自分以外を助けることなんてこいつにとってはプラスにならないはず...
「イラつくんだよ...」
「ぬ?」
「弱ぇからってハイエナみたいに群がりやがる...自分は苦労せず美味い汁を啜るようなカスが試験に合格するかもしれねぇ...」
「まぁ、言いたいことは分かるンゴ」
ま、実際腹は立つ。結局どこの世界もこういう卑怯な手を使うやつらはいるわけだ。こいつらみたいに、自分の行動がその身に掲げる家紋に恥じる行動かどうかも考えられない猿に、負けるのは癪だ。
「...ヒール」
「おい、動けるのか?」
見るからにボロボロな体に鞭を打つかのように自身の身体を奮い立たせたカイル、その姿はまるで背水の陣を敷いた戦国武将の様だった...
「いやぁ...かっこいいねぇ〜」
「あ?てめぇこそ...変な気ぃ使いやがって」
「...?それこそなんの事や」
「てめぇが俺から離れたところでドンパチやりやがったから、こいつらの俺へのヘイトが無くなったんだろ」
あーーーーそゆこと?
なんも考えてなかったわ。普通に必死こいて逃げ回ってただけなんだよなぁ...まーでも勝手に恩義感じてくれてんだったら好都合だな。
「今の俺、バカはえぇぞ?付いてこれるかにゃぁ〜^^」
「減らず口叩く暇あったら、ひとりでも多くぶちのめせ。こいつらはクズすぎた。そのクズに合格枠を奪われるなんざ、末代までの恥だ」
めっちゃ言うやん...って言っても俺も結構頭にきてるんでね。えー、はい殺っちゃいます。
お互いにボロボロの身体、満身創痍に違いはないがなんだろうな...異世界来て初めての異世界人との共闘に少なからず興奮を覚えている。
...こいつが居ればあるいは
そう感じた瞬間、自身のステータス画面が目の前に表示された。そこには、見慣れない...いや、見慣れた文字があった。
「"見てろよ見てろよ"...って」
授業だるすぎ




