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序章

妖精にだって、なりたい夢はあるんだよ

妖精がどうやって生まれるか知っているかい

フェアリーとピクシーについての話をしよう


フェアリーっていうのは人型の妖精

ひとつは草や木や花の精気から生まれる“ネイチャー(クレサーレ島)”

ふたつめには風や大気の流れから生まれる“ウィンディ”(ハイルオト島)

みっつめには海流のうねりや泡から生まれる“ウェイブ”(マーリアンハミート島)

よっつめに、マントルの胎動から生まれる“アースランド(カルドラ島)”

いつつには星や太陽、月のグラビテーションから生まれる”コスモ”

むっつめに、音が奏でる偶然の旋律から生まれるのが、“ノート”

そしてななつめに、人の心、特に人を想う心の動きから生まれる者、“ハーティ”だね


七つの妖精族が、住む世界のお話し

フェアリーはその使いとしてのピクシーをもっている

ピクシーは、光の玉であったり、炎の揺らぎに似たもの

なかなか目には見えにくいものもね、いるみたい。

モノや道具から生まれるものもいるけれど、性格はその素材に由来するんだ。


実は妖精たちは、

その生まれに従って守護するものが決められている、

という事を知っているかな。

その為に、妖精たちは必要な知識や、訓練が必要になって、

その為の学校にも通うんだよ。意外かな。


これから、君に話す物語りは、

妖精世界で暮らすフェアリーたちの、

守護するものに巡り合うまでの、冒険のお話しなんだ。

どう? 続きが気にならない?


ここは二つ目の国 ウィンディ

上昇気流に乗った無数の風たちが、青い空に向かって解き放たれる場所。

風の国の妖精はここで生まれます。

いま一束の風のうねりの中で、その隙間から氷の粒がひとつ結晶となって、やがてクルクルと回りだします。最初に心が、次にガラスの体や手足が少しずつ形になっていくと、少しだけ、くせっ毛の髪が風を受けながら、空へと舞い上がって行きました。


風の国で生まれた妖精たちは、風の国のフェアリー・ゴッド・マザーの館に集められます。

そこでは一人ひとりがマザーから祝福を与えられます。

水晶水に、ヒイラギの葉を浸し、生まれたての妖精たちに振り掛けます。飛び散った水晶水は金色のパウダーとなり全身を包むと、妖精たちは5色に色づいていきます。

JINの色に染まった妖精は、思いやりの心を授かり、GEEに染まった妖精は強い心を、礼に染まった妖精は正しい心を、CHIに染まったものは賢さを授かります。最後にSHINに染まれば噓をつかない正直さを授かるのです。

でもこの色は、自分にも、ほかの人にも見えません。

その後、祝福を得た妖精たちは、順にしずかに消えていくのでした。


「起きなさい。ピーク・・・。」

夜更けのベッドには、若い夫婦が眠っています。

ここは、”サングリア・レイパー”、パン工房の2階の寝室。パン屋は朝の早い仕事です。

「起きなさいな。私のピーキィ。」

パン屋の主人は、聞き覚えのある声の方へ、眩し気に顔を向けます。

(ああ、これは大妖精、フェアリー・ゴッド・マザー、私の守護精霊様・・・)

「ピーク・ホワイト、今日はあなたに新しい加護を授けに来ました。」

(え、でも私はあなたからもう既に加護を受けております。一体どうかなさったのですか?・・)

「いいえ、あなたに贈るのは、”育ての幸せ”です。この妖精をあなた方に託します。」

「この先におきるのは、あなた方人間が起こす過ちであり、災いです。貧困が人々に覆いかぶさり、猜疑と欲望に満ちた憎悪の炎が蔓延する世界です。」

「己の欲の為に、世界を混沌に陥れ、いくつもの大きな戦争が起きるでしょう。」

「この子を育て、守護するものを見つける目と耳と心を教えなさい。私があなたにしてきたように、この子が人の過ちを正し、導くことが出来るよう、人の心を、慈しみを、愛を教えなさい。」

「そしてこの子が、それを知った時には旅に出しなさい。さすれば、魔導の標をたどり守護すべきものに巡り合うことが出来るでしょう。」

「この子は、この愚かしく哀れな人の世に、世界の理へと導く新しき大妖精にしなければなりません。」

そう言うと、大妖精は、その杖でくるりと空中に輪を描き、消えていきました。

「ジーナ起きてくれ。たった今、フェアリー・ゴッド・マザーが私たちに加護をお与えくださったよ。」

彼女の胸元で、ポウッと小さな灯りがともり、こちらもクルリと回ったかと思うと、スーッと体の中へ消えていきました。


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