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②④ リリアーヌside5


もちろんコレットを悪く言うことも忘れない。



「これからはマナーや勉強を頑張って勉強するわ!コレットお姉様よりも立派になるからっ」


「……リリアーヌ」


「もしわたしがディオン様と婚約してミリアクト伯爵家を継げたら、こんなことにもならずにお父様とお母様に恩返しができたのに」


「まぁ……!そんなことを考えてくれていたの?」


「なんて素晴らしい娘なんだ」



今は領地の仕事もしていないらしく、両親は怒ってコレットに罰を与えると言った。

コレットは部屋から出てこなくなり、侍女は食事を届けていたが、ほとんど手をつけていないそうだ。


(わたしを怒らせるからこんなことになるのよ!)


リリアーヌはコレットの立場を奪い、婚約者を自分のものにすることに成功した。

それからフェリベール公爵とディオンにも手紙を送り、そのことを伝える。

ディオンもフェリベール公爵もコレットよりも美しいリリアーヌが婚約者になることを喜んでくれるに違いない。

そして『どちらでも構わない』という返事がリリアーヌの元へ。


リリアーヌはコレットのこれからのことを考えていた。

コレットから立場と婚約者を奪ったのはいいが、これからリリアーヌの知らないどこかに嫁いだりなんかしたら幸せになってしまうではないか。


それにディオンと結婚してからも、コレットをそばに置いておきたい。

何故ならば今回のように失敗した時だって罪をなすりつけられるし、領地の仕事をすべて任せられる。

まだまだ使い道はあるだろう。

リリアーヌの幸せを羨ましそうに見守ってもらわなければ困るのだ。


(ウフフ、コレットお姉様はずっとわたしのそばにいるべきよね?)


コレットが部屋で引きこもっている間に、必要な手続きはすべて終わらせてもらう。

フェリベール公爵も婚約者がコレットからリリアーヌに変わっても何も言わなかったそうだ。


(可哀想なコレットお姉様……誰も味方がいないのね)


侍女にディオンが来ているからコレットを呼んできて欲しいと頼む。

ディオンはいつものようににっこりと笑っているだけ。


それからコレットではなく、婚約者とミリアクト伯爵家を手に入れたことを報告する。

そしてここにいていいと慈悲をあげた。


しかしコレットはいつものように頷くこともなく『いらない』と、リリアーヌの言うことを否定したのだ。

出て行こうとするコレットを引きとめるように侍女に頼む。


両親に助けを求めるとすぐにリリアーヌの部屋に来てくれた。

いつものようにコレットのせいにして涙すると両親はコレットを責め立てている。


(これでいつも通り……そうでしょう!?)


しかしコレットは何を思ったのかハサミを自分に向けて髪をバッサリと切り落としたのだ。


『さようなら』


その言葉が妙に重たく感じた。

両親はコレットを除籍すると言ったが、リリアーヌはそこまで望んでいない。


コレットはリリアーヌの代わりに『可哀想』でいてくれないと困るのだ。

部屋に閉じこもったかと思いきや、火を起こしたらしくミリアクト伯爵中が大パニックだった。


(信じられないわっ……!コレットお姉様は頭がおかしくなったのかしら)


扉を遮る家具を人を集めて退かしてみると、部屋いっぱいに広がる焼けこげた匂い。

どうやら伯爵邸を燃やそうとしたのは失敗したようだ。

そこには開いた窓とヒラヒラと揺れるカーテンがリリアーヌの瞳に映っていた。

冷たい風が吹き込んで窓ガラスを揺らしていた。


両親は頭に血がのぼっているのか「除籍してやるっ!」「恩知らず」「のたれ死ねばいい」と叫び、リリアーヌが引き止める間もなく手続きをするためにその場を後にした。


「そのうち戻ってくるだろう」


ディオンのその言葉に我に返る。


(そうよね、そうに決まっているわ……!)


しかし、コレットはそのまま姿を消して戻ってくることはなかった。


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