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②③ リリアーヌside4

あのパーティーから一週間が経とうとしていた。


リリアーヌの気持ちも少しは落ち着いていた。

何故かディオンもミリアクト伯爵邸を訪れてこなくなり、部屋の中で侍女たちと退屈な日々を過ごしていた。


(そろそろ反省したでしょう。コレットお姉様を許してあげてもいいわ)


そう思っていたのにリリアーヌが思っていたことと逆のことが起こった。

講師達、商人や母の友人から聞かされたのは『コレットを称賛する声』と『リリアーヌの批判』だったらしい。


どうやらリリアーヌがパーティーでやってしまったことはすべて社交界では絶対にやってはいけないことだったらしい。

それをコレットが素晴らしい対応でフォローと謝罪をして回ったのだという。

つまりコレットが正しくてリリアーヌが間違えていた。

そう思った瞬間にリリアーヌは顔から火が出てしまうように真っ赤になった。

侍女もその話を聞いてから、いつものように話してくれずコソコソと何かを言いながら部屋から出て行ってしまう。


窓の外からは講師の話し声が聞こえた。



「リリアーヌ様はまるで子供のようだったと聞きましたわ!きちんとマナーを会得しませんとミリアクト伯爵家は落ちる一方ですわよ?」


「いや、しかし……リリアーヌの体調が」


「体調体調と、聞き飽きましたわ。だったらもうパーティーやお茶会には出さない方がいいのではないかしら。会場を元気に走り回っていたそうですわよ?はしたないわ」



それには両親も表情を曇らせている。



「わたくしの評判まで落ちてしまうから辞めさせていただきますと本来ならば言いたいところですが……コレット様の見事な対応と立ち振る舞いを見て、わたくしのもとには依頼が殺到していますの」


「コレット、が?」


「この件はコレット様がいるから水に流しますわ。リリアーヌ様の件はよく考えた方がいいですわよ?」



講師はそう言って去って行った。

その後に来た商人もリリアーヌを馬鹿にしたように鼻で笑いコレットを絶賛していた。

社交界には出来のいい姉とダメな妹という噂が広がっていると聞いてリリアーヌはゾッとした。


(どうして……?どうしてみんなはそんな意地悪言うの?)


そもそもリリアーヌはずっと昔に講師から簡単にマナー教わりはしたが、実際にパーティーに出たのは初めてだったのだから仕方ないではないか。

それなのに一度の失敗でリリアーヌの地位がここまで脅かされるなんて思ってもみなかった。


(そもそもコレットお姉様がわたしの失敗を大袈裟にするから、こんなことになってしまったのよ!)


すべてはコレットのせい。

今まで通りそうでなければならないのだ。


困惑する両親を味方につけるためにリリアーヌはすぐに行動に出た。

「具合が悪い」「体調がよくない」と言ってまず両親と話すのを避けて部屋に閉じこもる。


両親はすっかりリリアーヌの体調を心配して、そのことしか頭になくなっていく。

それから反省の様子を見せた。

「わたしがお父様とお母様のお役に立てないのも、迷惑をかけてしまうのもすべて病気のせいだわ」

と、涙ながらに訴えていく。

両親の罪悪感につけ込むしかないと、その方法しかないと思った。


涙するリリアーヌを見て両親は悲しげに瞼を伏せる。

それからは簡単だ。

「コレットお姉様のようになりたかったの」

「ディオン様のような素敵な婚約者がいるコレットお姉様が羨ましい」

「ずっとお父様とお母様と過ごせるコレットお姉様が羨ましい」

そう論点をすり替えていく。


両親も自分たちが責められるよりも、コレットを責めた方がいいのだろう。

やはり両親はリリアーヌの思い通りだった。


リリアーヌのその言葉に両親は号泣しながら喜んでいた。

それから両親はリリアーヌと『ずっと一緒にいるため』に話し合った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 病気病気て、頭の病気やん。
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