始まり。負け組次郎兵衛登場の事
『要は勝ち組につくことだ。他にない。弱い奴らや負けるとわかっている奴らにつくと死ぬ。それだけだ』
次郎兵衛の主義はそれに尽きた。
彼は弱い者や負ける連中につくのは嫌だと公言している。
若者たちは苦笑いし、首肯しながら酒やよくわからないごった煮を口に入れる。
「次郎兵衛様。小太郎様がお呼びです」
彼はゆっくり立ち上がると両の掌てのひらを擦り合わせ、薄手のちゃんちゃんこ一つ肩に引っ掛け雪の道に出た。
里はすっかり雪に包まれ、白が輝き青い空の中を歩むかのよう。
「この老骨に小太郎様はまた御戯れが過ぎる」
彼はひとりごつとゆっくりと小太郎の屋敷に歩みを進める。
一歩一歩、吐く息の白の中に浮かぶは若き日々に出会った人の顔。もうお迎えが近いのかなと彼は思い苦笑い。
忍びのものが布団の上で死ねるものか。
真中の里桜には雪が積もり、白の満開を描くよう。
水路に棚田。石垣は雪と日輪で輝き、老骨の彼に心地良き想いとともに小太郎の屋敷へ導いてくれる。
「小太郎様。およびでございましょうか」
オープニングテーマ『ひとり旅』
唄・子門真人
作詞・佐々木守
作・編曲・菊池俊輔