表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

なろうラジオ大賞参加作品

幼馴染は星座占い待ち

作者: さとー
掲載日:2022/12/15

 

 同じ学校の私たちは、なんとなくいつも二人で登校する。


 幼馴染みだからこその当たり前。日常。

 電車を待つ間、私は携帯を眺め、今日の運勢を確認する。


「今日もダメだぁ」

「宮田は好きだなぁ、星座占い」

 違うの、肥川くん。私は星座占いが好きなわけじゃない。


 隣にいる君が、肥川龍生(ひかわりゅうせい)くんが好き。

 でも小心者だから星座占いに頼って、告白していいよって言われるのを待ってる。


「じゃあ肥川くんの運勢もみちゃおーっと」

 今日も無理して笑ってる。



――――



 黒い瞳が俺を覗いた。

 どうしたらそんなに瞳を輝かせられる? 昔からそうだ。幼馴染みで付き合いも長いのに全然慣れなくて、ドキドキする。


 俺のこと好きなの?


 ……まさかね。さすがに自意識過剰すぎる。

 でもなんでいつも楽しそうに俺の運勢みるんだろう。やっぱり好きなのか?

 そうだったらと何年も望んでるのに、怖くて確かめられない。


「耳赤いけど、寒い?」

「……うん」

「寒いよねー。私も耳当て持ってきたらよかったぁって、歩いてて思った」

「ああ」


 早く告白しなきゃ。俺のもとから離れてしまう前に。


「ねっ、ね、今日恋愛運めっちゃいいって。肥川くん、チャンスなんじゃない?」


 無邪気な声が苦しくなる。鼓動が速まり、指先が震える。

 先に心の準備を……。いや、今がチャンスだって。いやいやでも占いを信じるのは……。


 ああ、もう!


「なぁ」

 心とは裏腹に冷たい声が出たが、宮田は「ん?」といつも通り微笑んでいる。


「好、きなんだけど」

「……うん」

「ずっと前から好きなんだ。幼馴染みだからたいして変わんないかもだが、付き合ってほしい」

「いいよ」


 何の気なしに言っているようにみえた。


「軽くない?」

「そうかな? でも断る理由ないし」

 はじめて宮田から笑顔が消え、黒い瞳は潤む。


「恋愛運がいいときをね、待ってたの。絶対失敗したくないって思ってたから。先にきたのは肥川くんだったみたいだけど」


 漏らす声はか細く、笑顔は取り繕っていたと知る。

 やばい。好きしか、宮田のことしか考えられない。

 駅のホームにいることを、周囲の咳払いが聞こえて思い出す。残念。


 しかし電車に乗った後、宮田が手を繋いできた。


「占いに書かれてないけど、手、繋ぎたいなって……。汗かいてたらごめん」


 そう言われたが、すでに俺のほうが汗をかいていた。手を離してズボンで汗を拭っていると、宮田は小さく笑う。


「龍生くんのそういうとこ好き」

 それから学校に着くまで、ずっと手を繋いでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ