第九十七章 〜 6日目の朝 〜
朝食の後、雄紀達は、それぞれ、忘れ物がないか確認してロビーに集合した。
まだ、ラディカと、サンチェスは来ていない様なので、3人で、ロビーの脇のテーブルを陣取って、飲み物を注文した。
「あっという間でしたね。 」
雄紀が言った。
「そうだね。 」
おじさんが言った。
「僕は、まだ、しばらくいますから。 」
スーリャは、楽しそうに言った。
「スーリャ、誰も媚薬摂取に現れなかったとしても、一応、連絡はして。 」
「分かってます、所長。 それにしても、海洋博物館、楽しみだな~・・。 」
「写真、取ってね。 で、後で見せて。 」
「カメラで撮ったら、そのまま送りますよ・・。 あ、そうだ! ちょっと、雄紀の端末貸して・・。 」
スーリャは、自分のカメラと、雄紀の携帯用電話をいじり始めた。
しばらくすると、雄紀に、電話を返しながら、スーリャが言った。
「はい。 僕のカメラを雄紀の携帯とひも付きにしておきました。 僕が、カメラで撮った写真は、全部、雄紀の携帯にコピーが届くように設定しました。 」
「ありがとう。 」
そこへ、ラディカが現れた。
「私、遅かったですか? 」
そこへ、マヤさんと、サンチェスも大きな荷物を持って現れた。
「私達も準備が出来ました。 ラディカさんと、スーリャさんは、もうお部屋の用意が出来ているので、受付で鍵を貰って下さいね。 所長さん、エントランスの所に車を回させておきました。 執事が運転してくれます。 」
「執事さんも、いらっしゃるんですか? 」
「はい。 誰か、運転手が必要でしょ。 彼らの心配は、しないで下さい。 ホテルを予約しておきました。 」
「そうですか・・。 」
そこへ、雄紀達が注文した飲み物が到着した。
「私も、一息入れます。 」
マヤさんは、ラディカと、サンチェスと自分の分の飲み物を注文した。
サンチェスは、相変わらず緊張した様子だ。
雄紀は、サンチェスに声をかけた。
「大丈夫だよ、旅も、お婆様も。 」
「ああ。 頭では、分かっちゃいるんだけどね。 やっぱり、不安なんだよ・・。 」
「あ、そうだ! 」
ラディカが、雄紀に話しかけた。
「もし、サティアさんに会ったら、よろしくお伝え下さい。 私、サティアさんに憧れているんですよ~・・。 素敵ですよね~、サティアさん・・。 ! 」
急に、ラディカは、誰かに氷水でもかけられたかのような表情をして止った。
「私・・。 サティアさんに関係する人で、・・誰か・・雄紀以外に、研究所に居ましたっけ? 誰か、とっても大切な人を忘れている様な・・・・気のせいですよね・・・・・・、気のせいですよね。 何だろ? 何だか変なの・・。 」
ラディカは、明らかに記憶の奥の何処かに、ヴィッディーのことを消さずに置いてあるのだと、雄紀は思った。
一瞬、雄紀の口から、ヴィッディーの名前が出そうになった。
しかし、出さずに置いた。
飲み物を飲み終わると、スーリャとラディカは、それぞれ個別の部屋へ。
雄紀とおじさんは、サンチェスとマヤさんと研究所へ出発した。




