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ソーハム  作者: Dariahrose
港町へ
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第九十五章 〜 サンチェスとマヤさん 〜

雄紀達は、港町での媚薬の投与、5日目が終了した。

今日で、一応 一区切り。

この会場での、対応を終了する。


会場の片付けも、3日目まで、ボランティアの人達も、後片付けの手伝いに来てくれたので、思いの外早く片付いた。


明日の朝、雄紀とおじさんは、サンチェスとマヤさんと共にこの街を後にする。

だから、“お礼に”と、マヤさんが、雄紀達 4人に、観光案内専門のスタッフによる、観光案内を用意してくれた。

港町のことのみならず、港町の伝説等にも精通している マヤさんは、雄紀の状況を心配してくれていた。

それで、この小旅行には、まじない等にも詳しい ボディーガードを、3人つけてくれた。


ジャイナに来てから、雄紀は、常にどこか気持ちを張り詰めさせていた。

特に、マーラに襲撃されて以来、休んでいる時さえ、完全には心を開放することが出来ないでいた。


しかし、ことの時だけは、思いっきり伸び伸びと楽しんだ。

ジャイナで、こんなに開放的な気分になったのは初めてだった。

もしかしたら、『雄紀』として生まれて初めて、伸び伸びと心の羽を伸ばして、他者と関わった旅行だったかも知れない。


いずれにしても、雄紀に取って、生涯忘れることの無い、楽しい思い出になった。


実は、雄紀達は、薄々感じていることがあった。

それは、マヤさんとサンチェスの関係だ。


マヤさんは、サンチェスに心を動かされたから手助けをしていると言っていた。

しかし、それ以上に何か、隠された何かがあるのであろうことを思っていた。

マヤさんが、時々、サンチェスに対して向けている、じっと見つめる優しい目・・。


雄紀は、サンチェスと二人きりになった時に聞いた。


「ねぇ、サンチェスのお母さんて、どんな人なの? 」


「さぁね・・。 実は、よく知らないんだ。 僕は、母親は知らないんだ。 多分、会ったこともない。 」


「そうなの? 写真とかもないの? 」


「ない。 多分、僕が生まれた時から居ない。 だから、僕は、父と祖母に育てられたんだ。 」


「へぇ。 お父さんは、再婚しないの? 」


「多分しない。 て、言うか、そんな年でもないし・・。 」


「急に、どうしたの? 」


「いや、マヤさんとサンチェスって、顔も似てるし、親子みたいって思ったんだ。 」


「そんなこと、ある訳ないじゃない? マヤさんは、ヘーゼルマン、そして僕は、ヘスーサン。 」


「光らなくなったら、マヤさんの子供になっちゃえば、な~んちゃって・・。 」


「そんなことは、出来ないよ。 僕には、父と祖母が居る。 祖母は、最近ちょっと体調が悪いんだ・・。 誰かが、手伝ってあげなきゃ・・。 」


「そうなんだ・・。 サンチェスは、頑張ってるんだね。 いっつも、幸せそうだから、僕はいつもサンチェスから元気を貰ってて・・。 全然気づかなかった・・。 」


「別に、気付いて欲しい訳じゃないし。 」


サンチェスは、真っ白な歯をむき出して笑った。 」


「雄紀は、繊細で 優しいんだね。 」

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