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ソーハム  作者: Dariahrose
港町へ
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第八十四章 〜 石の護の運命 〜

雄紀は、ヴィッディーが小さな袋に入れて、首から下げていてくれた、星屑石を手の中で転がしながら、物思いにふけっていた。


しばらくすると、立ち上がった。

そして、祭壇へと向かった。

おじさん、スーリャ、ラディカも後を追った。


雄紀は、祭壇の前で手を合わせた。

そして、開き戸を開けて、ヴィッディーが持っていてくれた、星屑石を石の隣に置いた。


突然、石から閃光が放たれた。

雄紀は、初めてこの部屋に入った時の光り方と少し様子が違っていると感じた。

光は、やがて落ち着いた。


3人は目を開けた。

すると、そこには、大きな淡い水色に光る真っ白な羽を携えた天使が立っていた。


呻吟(しんぎん)することはありません。 心頭を滅却することが、これからのあなたには必要なことです。 」


「・・あなたは、どうするのですか? この祠の護が2人とも居なくなってしまいました。 申し訳ありません。 」


雄紀は、天使に頭を下げた。


「気に留めることはありません。 これも、また運命なのです。 私は、この地を離れて次の場所へ向かいます。 」


「・・行ってしまうのですね。 」


雄紀は呟いた。

天使は、にっこりとほほ笑んだ。


「あなたは、私に再び会いますよ。 あなたが、再び、ヴィッディーに会う様に。 ヴィッディーは石の護。 あなたが、星屑石にご縁を頂いている限り、あなたは、私にも、ヴィッディーにも再び会うことになります。 これまで何度も会って来た様に。 」


「そうなのですか!? 」


「はい。 あなたは忘れているかも知れませんが。 そうですよね。 」


天使は、おじさんに、ほほ笑んだ。

おじさんは、天使に、微笑み返した。


「それでは、この家から離れて下さい。 傍に居れば、これから私が行く所に、一緒に連れて行ってしまいます。 あなた方は、まだやらなければならないことがあるでしょう。 」


天使は、いたずらっ子の様にほほ笑んだ。


「行こうか・・。」


おじさんが、ラディカと、スーリャに言った。


「あの! 私も、また、ヴィッディーに会えますか? 」


ラディカが、天使に聞いた。


「あなたの心の傷は、直ぐに癒えます。 ・・願っていれば、また会えるでしょう・・。 」


天使は、ラディカにほほ笑んだ。

そして、ほほ笑んだまま、1人1人、皆の瞳を見つめた。


4人は、天使に頭を下げて、ヴィッディーの家を後にした。


4人は、車に戻った。

雄紀は、ヴィッディーの家に振り返った。

そして、手を合わせた。

皆も、同じにした。


4人が目を開くと、ヴィッディーの家があったところは広場になっていた。

広場の向こうには、海が見える。


「!!!! ・・え・・!? 」


雄紀は、言葉を失った。

雄紀は、おじさんを見た。


おじさんも、同じだった。


「ね~、そろそろ宿に行きませんか? 日も暮れて来たし。 今日は、ありがとうございました。 久しぶりの海、楽しかったです。 」


「本当だよね。 明日の、スラム街近くで媚薬の投与は何時からでしたっけ? 場所も、確認しておかなければ。 」


雄紀と、おじさんは、何が何だか分からなかった。


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