第七十八章 〜 石の護の天使 〜
雄紀は、ドアの前に立った。
何だか雰囲気が違う。
ドアの把手に手をかけた。
ドアと壁の間を見た。
「ん? 」
雄紀は、何か違和感を覚えた。
ドアの下を見た。
『光・・。 』
ドアと壁の間から光が漏れていた。
雄紀は、そっとドアの把手を押した。
動いた!
ガ、ガ、ガ、ガチャン!
ドアは、大きな音を立てた。
鍵が開いたようだ。
雄紀は、ゆっくりドアを押した。
ドアは、鉛で出来ているかの様に、ずっしりしていたが、ゆっくり開いた。
ドアと壁の隙間から、閃光の様な光が漏れだした。
ドアが開いていくにつれて、光も強くなる。
雄紀は、部屋の中に入った。
廊下が、前方の突き当りの壁まで続いているようだ。
光源は、向かって部屋の左側に、ある。
雄紀は、ゆっくりと前へ進んで行った。
そして、ちょうど部屋の真ん中あたりで、左側を向いた。
すると、光が、少しずつ弱くなっていった。
目を全開にしても、眩しく無い程の明るさになったと感じた時、雄紀は自分の前にあるものを見た。
それは、祭壇の様なものだった。
真ん中の奥に、小さなお社の様なものがあった。
そのお社の様なものには、閉ざされた両開きの扉があった。
光は、そここら放たれている様だった。
「開けてもいいですか? 」
雄紀は、扉に向かって話しかけた。
カチャッ、・・。 キ ―――――――――。
扉が、自ら開いた。
中には、金色に光る黄金に、プラチナ色が混じる石があった。
「あなたが石の護の神ですか? 」
雄紀は、石に話しかけた。
すると、石は、雄紀の頭の中に話しかけて来た。
「いえ。 違います。 神ではありません。 私は、石の護の天使です。 」
「今から、ヴィッディーがここに来ます。 彼の命が狙われています。 助けて下さい! 」
雄紀は、心の中で天使に話しかけた。
「・・私には運命を変える力はありません。 私は、流れを変える権限を持っていないのです。 」
「あなたには何が出来るのですか? 」
「私は、石の護の天使。 あなたが、星屑石と呼んでいる石を守るためにここに居ます。 」
「・・この石は、そんなに大切なものなのですか? 」
雄紀は、ポケットから、星屑石を取り出して 石に見せた。
「その石が、全てへの鍵です。 そして、あなたは、その鍵に愛されている・・。 石は、あなたを選んだ・・。 」
「どういうことですか? 」
「・・もうすぐ、ヴィッディーが到着します。 悪は、ヴィッディーと一緒に居て、時を待っています。 気を付けて・・・・。 」
石は、光らなくなった。
そして、なにも話さなくなった。
「雄紀、何が起きているんだい? 」
ヴィシュヌが雄紀に話しかけた。
「もう直ぐ、ヴィッディーが到着します。 行かなきゃ・・! 」




