第七十六章 〜 星屑石 〜
「え!?!? “何か”って、何? “何か”って言うことは 物なの? 」
「でも・・何か・・家の奥です。一番奥の部屋・・。 」
雄紀は、目を閉じて、一度、少し息を吸って、ゆっくり鼻から吐いた。
「・・玄関を入ると、そのまま奥に向かう廊下と、左に向かう廊下とがあります。 左側の廊下は、玄関から入ってすぐ左側の部屋・・、広い客間?を囲むように伸びています。 その左側へ向かう廊下が、まるで参道の様な役割をしていて、広い客間の様な部屋の奥に ある何かに通じています。 でも・・、僕には、それが何なのかは分かりません。 悪なのか、味方なのか・・。 」
雄紀は、目を開いた。
そして、一旦、大きく息を吸って、上半身の重さで息を吐き切った。
右脇腹が熱い・・。
雄紀は、右わき腹の丁度上にある、ポケットに手を入れた。
「熱くなっている・・。 」
雄紀は、その熱源をポケットから取り出した。
それは、星屑石だった。
星屑石は、普段は乳白色にピンク色が渦を巻いて光っていた。
しかし、今日は、その光は、乳白色と、言うよりも、水色に光っていた。
ピンク色の部分も、薄紫色に光っていた。
「おじさん、僕の石が熱くなってます。 おじさんのは石は、どうですか? 」
おじさんは、ポケットの中に手を入れた。
「熱い! どういうことだ!? 」
「僕にも分かりません。 でも、もしかしたら、ヴィッディーの家の奥の何かに関係があるのではないでしょうか。 ヴィッディーは、石の護でしたよね。 もしかしたらそのこととも関係があるのかも知れません。 」
「なるほど・・。 」
シートとシートの間から、後部座席に座っている、スーリャが顔を出した。
「綺麗な石ですね。 うわー! え!? これ、色が動いてる!? 一体これは!? 」
「教会の中にある石をしってる? 」
「あぁ、伝説は聞いたことがあります。 悪が現れた時に、前の前の・・解らないくらい前の王様が、その石で悪に勝った・・みたいな感じの。 でも、あの石は真っ黒ですよ。 」
「え? あの石が今は、宙に浮いているって言う噂は知らないの? 」
「そうなんですか? 僕は、ここ一年くらい、ずっと家と研究所を行ったり来たりしているだけだったので、最近の噂話は知らないんです。 あの石、宙に浮いてるんですか? え!? 宙に浮く何て・・ありえない。 」
「今、あの石は、こんな色をしているそうだよ。 」
「色が変わったんですか? 」
「いや。 僕が触ったんだ。 」
「え!? どういうことですか? 」
「ちょっと、長い話になるから、また説明するよ。 もうすぐ着きそうだよ。 」
ヴィシュヌの車を線頭に、皆が乗った車は、次々とヴィッディーの家の駐車場に入って行った




