第六十九章 〜 ひと時の休憩 〜
「そうなんですね! 私たちは、ヴィッディーの手伝いをする為に追いかけて来た者なんです。 」
おじさんが言った。
「すみません。 立ちっぱなしにさせてしまいました・・中に入って下さい。 」
ヴィシュヌは、入り口のサインを『閉店』になる様に裏返した。
4人は、ヴィシュヌに案内されて席に着いた。
「所長、彼を信用して良いのでしょう・・? 」
スーリャが、おじさんに小声で言った。
「雄紀、どう思う? 」
「僕は、安心できる気がするんですが・・何とも・・。 」
雄紀は、ポケットに入れておいた星屑石を握りしめて、目をつぶった。。
リ ―――――――― ン・・。
鈴の様な、耳鳴りの様な音が聞こえた。
「・・・・ヴィシュヌを信用して。 でも、ヴィシュヌの友達が来たら、ヴィシュヌを連れて逃げて・・・・。 」
「え!? ヴィッディー? 」
雄紀は、目を開いた。
「ヴィッディーが、どうしたんですか!?」
ラディカが、こちらを見た。
雄紀は、ラディカに愛想笑いをして、手を洗うと口実を付けて、おじさんの後ろに通りかかった時に耳打ちをした。
「おじさん、ヴィシュヌさんは、信用できると思います。 でも、ヴィシュヌさんの“友人”と言う人が来たら逃げろって・・。 」
「え!? 誰が!? 」
雄紀は、微かに横に振って通り過ぎて行った。
おじさんは、それ以上聞かなかった。
ヴィシュヌは、お店の奥から、ティーポット一杯の紅茶と、シーフード・サンドイッチを持って出て来た。
「悪いけど、今日は、仕入れに行って無いから、こんなものしか作れないけど・・。 家は、シーフード・レストランだから。 」
「ありがとうございます。 おいくらですか? 」
おじさんは、財布を取りだした。
「いえいえ、今日は、オフなので。 お納め下さい。 」
おじさんは、財布をしまった。
雄紀は、サティアから貰った聖水を上着のポケットから出した。
そして、その場に居る一人一人の額に、その聖水を付け、結界を張った。
おじさんが、ヴィシュヌに話しかけた。
「これから、ご実家まで、案内して頂けませんか? 」
「良いですよ。 今日は、どうせ、ヴィッディーの無事な顔を見るまでは、何も手に着かないだろうし・・。 」
ヴィシュヌは、困ったように笑った。
「今からです。 」
雄紀が言った。
「え!? 今? 今直ぐ? 良いけど、もう少しゆっくりしていったら? 私も、用意をしたいですし。 」
「時間がありません。 」
雄紀が続けた?
「え? 何で? 」
ヴィシュヌが不思議そうな顔をした。
スーリャと、ラディカも同じような表情で見ている。
おじさんが、会話に割って入った。
「私たちも、仕事が残っていて、早く、ヴィッディーに届け物をしたら帰らなければならないんです。 」
この言葉に、ヴィシュヌは納得した様だったが、スーリャとラディカは、きょとんとしていた。
その時だった。




