第六十六章 〜 港町へ 〜
雄紀は、所長室に行った。
おじさんは、ゆったりとコーヒーを飲みながら、研究資料を見ていた。
雄紀の尋常ではない表情に、驚いた表情で雄紀を出迎えた。
雄紀は、おじさんに、瞑想中に見た夢の話をした。
おじさんは、神妙な表情で考え込むように聞いていた。
「おじさん、今なら、ヴィッディーを助けることが出来ます。 事件が起きるのは、3日後です! 」
「・・・・でも、ソーハムが“阻止しようなんて考えないで・・”って言ってたんだよね。 ソーハムは、決して軽はずみに物事を言う様な事はしないんだ。 何故なのかは分からないが・・・・。 」
「でも、それは、“想定外”だとも言ってました。 だから・・・ 何か、良い方法は無いでしょうか。 さっき、電話をかけて見たんですけど、繋がらなくて・・・・。 」
「・・もしかしたら、それも阻止されているのかも・・。 何とも言えないよ・・。 」
「僕は、取り合えず、ヴィッディーを追いかけて行きます。 おじさん、一緒に行ってもらえませんか? 」
おじさんは、雄紀を見つめながら、しばらく考えていた。
「・・・・よし、行こう! でも、おばさんは心配するから、彼女には、ヴィッディーの忘れ物を届けに行くと言うことにしよう。 」
「分かりました! ありがとうございます! 」
雄紀とおじさんは、ヴィッディーの助手を1人と、自分の助手の1人を一緒に連れて行くことにした。
1人は、スーリャ。
スーリャは、おじさんの一番弟子だ。
少し離れた山の集落で大災害があった時、特に遺伝子での鑑定の腕や薬物の知識が買われ、医師の検案を作る為の助手をしたこともあった。
もう1人は、ラディカ。
ヴィッディーの1番弟子だ。
ヘーゼルマンの財閥の中でも、一目置かれる権力者の娘である。
遺伝子工学と体細胞遺伝学、創薬化学を専門にしている。
ヘスーサンの人々を差別から解放する為に、伝手を辿ってヴィッディーの紹介で研究所に入った。
彼女が、ヴィッディーの考え方や、大らかさに惹かれていたのは、研究所の誰もが知るところだった。
「所長、用意が出来ました。 そろそろ出発しますか・・。 港町に行くのは初めてなので、少しドキドキします。 ヴィッディーに連絡は付きましたか? 我々も手伝いに行くことを早く知らせないと段取りもありますよね・・。 」
スーリャが言った。
おじさんと、雄紀は2人には事情をはなさないでおくことにした。
この時、おじさんと、雄紀は何とかして、ヴィッディーを救うおうとしていた。
それに、何と言っても、2人を巻き込むことは避けたかったからだ。
しかし、未だ、ヴィッディーには連絡が付かなかった。




