第六十章 〜 雄紀の良いところ 〜
「え!? そう言うことなの? そんなことになるの!? 」
「そうだよ。 君は、自分自身を何だと思っているんだ? 君だけじゃない、サティアも消えてしまうかも知れないんだ。 少なくとも、あるべき姿には戻れなくなる。 」
「そんな・・責任重大な・・・・。 」
「それに、サティアだけではない。 君は私の両親やヴィッディーとも魂の家族なんだ。 元を辿れば、同じところから来ているんだよ。 だから、皆、お互い引き寄せあって、時空を超えて何度も出会うんだ。 」
「えー!? 」
「私たちの中の誰一人として、欠けてはいけないんだ! 天命を全うしなければならないんだ! 」
「あなたが、殺されてしまった事は、天命だったんですか? 」
「ん~、そうとも言えるけど、一つの選択肢だね。 私が、至らなかったんだ・・。 私の失態だよ。 だから、私は、君と私に別れてしまった。 」
「・・・・。 じゃあ、ソーハムさんは、どうすれば良かったんですか? 」
雄紀は、少し言葉が強くなってしまった事を後悔した。
「・・と、思いますか?」
少し、言葉の意味を弱くするために、言い足した。
ソーハムは、ゆっくりと答え始めた。
「・・そうだね。 私は、もっと、アッデスに優しい言葉をかけるべきだったのかも知れない。 それから、君の様に、もっと周りを観察したり、人を立てたり素直に受け入れたいりすれば良かったと思う。 ・・自分の思いのままに行動するのではなくね。 」
「なるほど・・。 」
「君は、何度も殺されかけているけど、決して死んでいない。 正しい道に居ると思うよ。 」
「そうなんですか・・? 」
「ああ! そうだ。 」
「全く実感は、ありませんが・・。 」
「どうして、君は、いつも、そう自信が無いのかな~・・? まぁ、それが可愛いところなんだけど・・。 」
「それは~・・、可愛い!? 」
雄紀は、ソーハムを見つめた。
ソーハムは、ふっと笑って、再び雄紀を見た。
「でも、自信は持って欲しい。 君は、本当に私が、“こうなりたい!”思う方向に進んでいるんだ。 」
「・・それは、どうも・・ 」
雄紀は、何だか、ソーハムの言葉に対しての、自分が返す表情と、言葉が自分の意としないものになって来ていることに焦った。
「それ! それだよ! 僕に無いのは! 他人を思いやる心。 」
そうだった。
ソーハムには、思念が伝わるんだった・・。
「私の、ずけずけ行くところと、そんな君が融合したら、どうなるだろうね~? 私は、楽しみでしょうがないんだよ~。 」
「そうなんだ。 でも、ソーハムさんは、僕に吸収されちゃうって・・。 それでも良いの? 楽しみなの!? 」




