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ソーハム  作者: Dariahrose
発光からの解放
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第四十五章 〜 媚薬の検証 〜

ヘスーサンの人の腸内細菌に、媚薬を入れて培養を始めてから、1日が経過した。

検体の数は、50人分、十分だとは、言い難いかも知れないが、効果があるかどうかを判断する為には、十分な数だと雄紀は思った。


雄紀は、腸内細菌と媚薬とからを作った液体を、ヘスーサンの人の細胞が培養されたシャーレの上に塗った。

これを、ヘスーサンの皮膚の発光に、どう影響するのか、全く影響しないのか、何日間か定期的に観察する必要性があった。 

そして、効果があるとすれば、どのくらいの量で“効果がある”と、判断できるのか知りたかった。


検体は、50人分。

雄紀は、綿密に細かく、効率的に検証が出来るように計画した。


結果は、液体を塗った直後、どの検体にも細胞の光り方に変化は無かった。

しかし、1週間ほど経つと、明らかに光の強さが変化していった。

7日目を境に、どの検体も、日が経つごとに光が弱くなっていった。

そして、21日目には、ほとんどの検体も全く光らなくなっていた。

3カ月が経過したら、どの検体も再び発行することは無かった。


媚薬の量の多いか少ないかによる差異は、あまり見られなかった。

いずれにしろ、この媚薬には効果があることは確かだ。


次は、副作用の検証だ・・・。


雄紀は、独り、冷蔵庫の一番奥に手を伸ばした。

ヘスーサンの人の上皮細胞から抽出した、ジアノバクテリアや、酵素をであった。

それらは、人的にヘスーサンの人達の先祖の体に入れられたものと、なるべく同じに、資料を見ながら雄紀が作ったものであった。

そして、この試薬の存在のことは誰にも打ち明けていなかった。


雄紀は、ジャイナに来て生まれて初めて、他者の存在を、かけてくれる言葉を、ありがたいと思うことを知った。

雄紀を受け入れてくれた皆に、何かお返しをしたかった。

しかし、雄紀は、みんなに上げられる物は何も持っていないと思い込んでいた。


だから、この試薬を作った。

そして秘密にした。

この試薬のことがバレたら、絶対に止められる。


雄紀は、この世界の存在ではない。

だから、


「雄紀が、例えこの世から消えたとしても、この世界は何も変わらない・・・・」


雄紀は、そう考えていた。

そう、思い込んでいた。

それなのに、みんなは止めようとしてくれる・・・・。


だから・・・・。


雄紀は、その試薬の入った注射器の針を自分の腕に刺し込んだ。

そして、一度、息を吐いて、ゆっくりと押し子を押した。

シリンジの中の試薬は、ゆっくりと雄紀の体内に入って行った。


雄紀は、ゆっくりと息を吐いた。

気分は悪くない・・・・。

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