第四十三章 〜 菌の媚薬 〜
おじさんに相談して、サティアが持って来た薬草と木を、研究室の一角で培養することになった。
一角と言っても、100畳程の広さの場所に培養土を広げ、池を作った。
「こんな、小さな植物と小さな幼木の為に、こんな広さをよういするの?」
雄紀が目を丸くしながら、おじさんに話しかけた。
「まぁ、見ておれ! 」
サティアは得意げに言った。
サティアは、目をつぶり、呪文を唱え始めた。
しばらくすると、植物と木が大きくなり始めた。
植物は、葉を伸ばし、花を咲かせ身を落とした。
それを繰り返して、あっという間に真菰の森や、蓮の池が出来た。
木も、あっという間に5メートルほどの高さになり、花を咲かせ身を落とし、研究室の一角に小さな森が出来た。そして、再び実を実らせた。
「とりあえず、これで媚薬を作るわね」
研究所の職員総出で実を摘んだ。
サティアは独り、ハーブティーを飲みながら、それを眺めた。
丁寧に清められた実の山の周りに黒い幕を張り、サティアは調合を始めた。
最初は、小さな声でつぶやく声が聞こえたが、静かになった。
すると、直ぐにサティアが幕から出て来た。
「出来たわよ~」
「え!? これだけ・・?」
出来上がった媚薬は、おちょこの様な入れ物の底の方にちょっと確認できるだけだった。
「そうよ」
そう言いながら、サティアは大きなたらい型の水槽にその媚薬を入れて、呪文を唱えた。
すると、水槽の水が光りはじめた。
「光が消えたら、出来上がりだから。 このくらいあれば、とりあえずは大丈夫でしょ? 無くなりそうになったら言ってね。 また作るから。 無くなってしまったら、また、植物から集めなければならなくなるから、少し取って置いてね」
そう言うと、サティアは椅子に座って、再びハーブティーを飲み始めた。
「具体的に、これは、どんな効果のあるくすりなんですか?」
「これはね、酸素が活性酸素になるのを阻害して、光を発するものや藻を無くしてしまうもの。 真菰には、真菰菌って言う黒穂菌の一種が住み着いて、肥大したものが良く町でも食用として売られるんだけど。 城の植物園で育てられている、この真菰は特殊な真菰なの。 この真菰菌は、酸素が活性酸素になるのを完全に阻害することの出来る酵素を出すの。 そして、蓮の実や菩提樹の実で作った媚薬で、その黒穂菌に寄生するウイルスが出す酵素が光になる酵素と化学反応を起こして光らなくしたり、藻が酸素を出せない様に阻害剤になる様に操作したの。 最終的には、その藻にベタベタくっついて、一緒に体外へ排出させるのよ」
「すごいね」
「ただね、どんな副作用が出るのが分からないの。 元々は、究極の老化を止める為の媚薬なんだけど。 それに・・惚れ薬をいじったものを混ぜたものだから・・。 その惚れ薬は、黒穂菌に作用するようにしてるんだけど・・・。 腸内細菌との兼ね合いもあるし・・・。 何分、誰も、この薬を使ったことがある人がいないから・・」




