第四十章 〜 雄紀の帰還 〜
「まずは、君自身の課題を克服すること。 自分を自分の枠にはめようとするのを止めるんだ。 その枠を捨ててしまうのが、どんなに不安な事か怖いことか分かっている。 でも、そうすることで、真実が見えて来る。 」
「何が見えて来るんですか? 僕の歩むべき道ですか?」
「いや、自分自身の心が本当にワクワクするような、“楽しい”と思える事が分かるようになるんだ。 まずは、そこからだね」
「良く分かりませんが、やってみます」
「鍵は、サティアが持っている。 石をどう使うかも、自分の心に任せるんだ」
「・・・・」
「ありがとう、雄紀。 期待して待ってるよ・・! 私の両親と、サティアとヴィッディーとアッデスに“愛してる”と、伝えてくれ! そして、雄紀を頼むって・・・・」
「待って下さい! ソーハム! まだ聞きたいことが・・・・!」
◇◆◇◆◇
「・・・ソーハム! まだ聞きたいことが・・・・!」
「何!? え!? ソーハム!? どこ!? 」
急に、右腕を宙に伸ばし、飛び起きながら叫んだ雄紀に驚いたサティアは椅子から落ちそうになってしまった。
「・・え? ここは? ソーハムは!?」
「雄紀、どうしたの? ここは研究所の中のよ。 ソーハムって・・会ったの?」
「え? 今ならまだ間に合うかも・・何処!?」
「何寝ぼけてるの?」
『サティアさんに会わないんですか?』
『・・祓われちゃうよ、サティアに・・』
雄紀は、の言葉を思い出して、反射的にサティアの右手を見た。
すると、そこには、空間の浄化に使われると言う楽器が握られていた。
雄紀は、何だか可笑しくなって笑い出した。
笑い出したら、何だか止まらなくなってしまった。
しばらく、サティアは、両目を皿のように見開いて、不思議そうな表情で危篤から目覚めたとたん大笑いをしている雄紀を見つめていた。
「うっ・・ぐ―――――――」
雄紀は、脇腹の痛みでベッドに倒れ込んだ。
そうだ、雄紀は、今の今まで、大怪我がもとで生死の狭間にいたのだった。
サティアは、ナースコールのボタンを押して、医療チームを呼んだ。
医師が雄紀のバイタルを念入りに取った。
「もう、心配ないですね。 狂人的な回復です。 傷をしている以外は健康そのものです・・」
医師が、サティアに、そう伝えている最中に、おじさんが、おばさんとヴィッディー到着した。
「良かった・・」
おじさんと、おばさんは、涙ぐんでいた。
ヴィッディーも、泣いていた。
雄紀の生還に、みんな安堵の涙を流した。




