第三十六章 〜 五つの石 〜
「5個になったのには、意味があるんだ。 」
「どんな意味ですか? 」
「私には分からないな。 君にしか分からないよ。 」
「そうなんですか? 僕には見当もつかないです。 」
「私に言えることは、君は、ジャイナに来る時に、その石を持って来たんでしょ? きっと、その石は、君をここへ運んでくれた。 ジャイナにも、同じ石があるしね。 それから、神が、その石をジャイナにもたらしてくれた お陰で、ジャイナを始めとする、この世界は悪から守られた・・。 そう言う風に考えを巡らせたら、どんな風に使えばいいのか分かるよ、きっと。 」
「この石は、星見岩のおじさんの形見だし、おじさんの夢を継ぐ証だし。 だから、多分、何となく持って来たんです。 」
「もしかしたら、その5個の石たちは、ジャイナに神によって与えられた石に会いたかったのかも知れないね。 」
「そうなのかな? 」
「さあね。 」
「もしかしたら、星見岩のおじさんも、ジャイナの人だったことがあるんじゃないかな? 」
「そうかも知れないね。 」
「そう言えば、雰囲気が似てるんだ、ヴィッディーに。 年恰好は、全く違うけど。 」
「来ている服の趣味等は、生まれ変わっても受け継がれたりするけど、年の違いは、気にしない方が良いよ。 年の違いは、この世界で生きている長さの違いと、言う以上の意味も無いし、それ以下でも無い。 」
光は、少しが優しげに光った。
「そうなんですか? 」
「君は、何故、神は、私たちが自分自身の生の姿を見ることが出来ないように作ったか分かるかい? それから、何故、人の心の中が見えないのか分かるかい? 答えの出ない質問かも知れないが、よ~く考えてごらん? 」
「・・・。 」
「そんなこと、考えてみたことも無かったです。 」
「とっても大切な事だから、よくよく考えてごらん? 」
「え~・・・。 」
「今じゃなくても良いよ。 でも、自分が何を成すために、この世界に生まれて来たのかの答えを見つけたければ、この質問を解こうとすることが大切なんだよ。 」
「・・そうなんですね。 良く分かりませんが。 」
「分からなくても良いんだ。 でも、“分からない”って気づくことは、とっても大切な事なんだ。 」
「ますます、意味が分からないよ。 」
光は、声を上げて笑った。
「君は、本当に正直で素直だね。 私は君が大好きだよ。 」
「はぁ。 ありがとうございます。 」
「物事を素直に捉えられることが出来る、と言うことは一番の宝なんだ。 何でも知ることが出来る。 」
「ところで、さっきから何となく感じているんですが・・。 」




