第百五章 〜 2人のアッデス 〜
足元に、まるで、お城を上から見ている様な映像が映し出された。
お城の上を飛んでいる様な気にさえなって来た。
すると、映像は、お城に近付いて行った。
下から見た時は、分からなかった、お城の中央から、やや後ろ側に小さな中庭が見えた。
そして、その中庭に開いた、窓の1つに近付いて行った。
「あ、おじさんだ・・。 」
おじさんが、神妙な顔をして座っていた。
おじさんの瞳の先には、ベッドに横たわる、年老いた老人が目を閉じていた。
その肌は、透けるように白く、ピクリとも動かないので人間なのか、人形なのかさえ分からない。
しばらくすると、その、人形の様な顔の瞼が動いて、目が明いた。
ソーハムや、おじさんと同じ色の瞳だ。
「サンヒータ王・・。 」
雄紀は、呟いた。
サンヒータ王のベッドを隔てて、向かいには、サティアが座っている。
サティアは、おじさんに何かを話しかけているが、雄紀には何て言っているのかが聞こえない・・。
おじさんは、じっと、サンヒータ王を寂しそうに、ただただ、見つめていた。
雄紀の見ている映像は、その部屋のドアを開けることなく、通り過ぎて、廊下へ出た。
いくつもドアを通り過ぎて、階段を下りて行った。
いくつも階段を下りて行くごとに、だんだん薄暗くなって言った。
そして、真っ暗な中、薄暗い明かりが灯された階へ辿り着いた。
突き当りの重厚な鉄のドアを通り抜けると、牢屋の様な鉄格子になっていた。
そこを、通り過ぎると、再び石の壁があり、隅にある小さな鉄のドアを通り過ぎた。
そこは、薄暗い、窓も無い、じっとりとした部屋だった。
目が慣れるまで、中に何があるのかさえ見えない。
部屋の隅の角に何か、塊が見える・・・・。
「・・アッデス王・・? 」
髪の毛も、髭も伸び放題。
一瞬誰か分からなかったが、その顔立ちは確かにアッデスであった。
アッデスは、部屋の隅の壁にもたれ掛かり、うなだれて座り込んでいた。
両手首や顔、体中に拷問を受けてように傷だらけであった。
太ももの深い傷には、虫が湧いていた。
その傷は、少し治りかけていた。
しばらくすると、映像は、再び、おじさんとサティアが居る部屋に引き戻った。
サンヒータ王の口元が、微かに動いている。
おじさんと、サティアが立ち上がって、サンヒータ王の口元に耳を近付けた。
しばらくすると、おじさんは、驚いたような表情になり、再び椅子に座った。
サティアは、悲しそうな表情を浮かべた。
おじさんは、明らかに当惑していた。
サティアは、悲しそうな表情のまま。
お互い、何も言葉を交わそうとしない・・。
しばらくすると、そこに、アッデスが現れた。
その、アッデスは、美しく宝石で着飾り、髭も髪の毛も一糸乱れぬ整い様であった。
爪の先まで、不自然な程に、艶々に磨かれていた。




