第百四章 〜 再び狭間へ 〜
周りが、優しく輝き始めるのを感じて、雄紀は目を開いた。
そこは、真っ白く光っている場所だった。
その場所を何かが照らしている訳ではなく、その場所も、空も全てが微かに光ってお互いを照らし合っていた。
「温かい・・・。 」
雄紀は、呟いた。
雄紀は、周りを見回した。
辺りを少し歩きまわって見た。
ソーハムが居ない。
以前であれば、どこから、ソーハムが現れて導いてくれた。
「ソーハム! 」
雄紀は、叫んだ。
しかし、雄紀の声は、光の中に空しく広がっていくだけだった。
雄紀は、ゆっくり歩きだした。
何処かに向かっているという意識は全くなく、ただ足を動かしていた。
雄紀は、はざまに来れば、ソーハムに会えると信じていた。
ソーハムに、おじさんがお城に行ったことを相談したかった。
おじさんが、大丈夫であると言って欲しかった。
そして、あわよくば解決してほしいと思っていた。
しかし、ここに、ソーハムは居ない。
もしかしたら、雄紀自身が何かの理由で、波動が低くなってしまったのだろうか・・。
ソーハムは、目の前に立っているのに、見えなくなってしまっているのだろうか・・。
「ソーハム・・? 」
雄紀は、再び、ソーハムを呼んだ。
しかし、誰も返事をしてくれるものは無かった。
雄紀は、そこに座り込んだ。
途方に暮れてしまったのだ。
もう、どうして良いのか分からない。
今までは、何かある度に、“ソーハムに聞いて見よう、ソーハムが導いてくれる・・。”と、思っていた。
そして、それが心の支えになっていた。
いつでもそこに居て、何でも知っていて、導いてくれるはずの、ソーハムが居ないのだ。
雄紀が、今まで心の何処かに抑え込んでいた、悲しみや不安や怒りが一気に込み上げて来た。
雄紀は、その場に崩れ落ちた。
雄紀の目から大粒の涙が止め処も無く流れ始めた。
雄紀は、それを止める術を知らなかった。
どれ位経っただろう・・。
雄紀は、何か、気配を感じて顔を上げた。
鳥の様な、クリオネの様な形の光が空を飛んでいる。
雄紀を見ている様だ。
まるで、“こっちへおいで・・ ”と、言っている様であった。
雄紀は、立ち上がった。
そして、その光に近付いて行った。
すると、その光は、雄紀から少し遠くに飛んで行っては、再び宙を飛びながら、雄紀を待っている様であった。
雄紀は、再び、光に近付いて行った。
しばらく、光に導かれながら歩いて行くと、雄紀の真上に飛んで来た。
驚く雄紀を他所に、その光は、狙いを定める様に細かく旋回して、雄紀の足元に、一直線に突き刺さった。
そのとたん、光は一瞬閃光を放ったと思ったら、光が刺さったところから、足元の光が晴れて行った。
まるで、そこだけ雲が消えていくようだった。
「ん!? 」
光が晴れて行った場所に何かが映し出された。
「お城だ! 」




