第百三章 〜 サンヒータ王 〜
「どうしたんだろう・・。 」
雄紀は、心が急に心が縮んでいくのを感じた。
『お城で何かあったんだ・・。 』
雄紀の心は胸騒ぎに乗っ取られた。
『おばさんは、何か聞いているはず・・。 』
「ありがとうございます。 」
雄紀は、マヤさんと、サンチェスに笑顔で、そう告げると、その場を後にした。
雄紀は、おばさんの納屋に行った。
納屋に入ると、おばさんが居間にしている部屋の、テーブルの椅子に座っていた。
何か、難しい表情をして、考え事をしている。
雄紀が、部屋に入って来たことにも気付いていない様だ。
嫌な予感がする・・。
雄紀は、おばさんに尋ねた。
「おばさん? 」
「あ! ソーハム、気が付かなかったよ。 いつの間にか、そこに居たんだね。 」
「おじさんが急に出かけたそうですけど、何かあったんですか? 」
「あ~・・。 サンヒータ王が・・危篤なんだって。 」
「え!? 亡くなったって聞いたと、思ってたんですが・・。 」
「生きていたのかねぇ・・。 私にも、何が何だか分からないけど・・。 アッデスが、王座につくために、死んだことにして、閉じ込めてたんじゃないかって・・。 」
「え・・。 」
「でも、アッデス王からの使いが、“サンヒータ王が危篤だ”って、知らせて来たんだよ。 でも、アッデス王の使いの言うことだから、なんか危ないって 止めたんだけどね。 もし本当だったら、まだ生きているんだったら会いたいって、行っちゃったんだ・・。 」
「もし、罠だったら・・。 」
「あの人も、そう言ってたけど、一般民になった自分を殺しても、直接には何の利益も無いから・・って。 」
「僕、お城に行って来ます。 」
「あの人が、“ソーハムには来るなって言って”って! 行っちゃ駄目だ! 危ない!」
「でも、おじさんが・・。 」
「お城には、サティアさんも居る。 何とかなるよ・・。 ソーハムには、“講座を頼む”って伝えてって・・。 」
「・・・・。 」
雄紀は、納得がいかなかった。
しかし、講座のことや、研究所のことを考えると、雄紀が研究室を空けることは、許されないことだった。
雄紀は、研究所に戻った。
奥の部屋の入り口の人に、自分が出て来るまで誰も寄せ付けないように伝えて、奥の部屋に籠った。
その部屋は、雄紀が休憩室として、未だに時々寝泊まりしている部屋であった。
雄紀は、サティアの瞑想用のラグを敷いた。
そして、その上に胡坐座りをした。
雄紀は、ゆっくり目を瞑って、半眼にした。
雄紀は、目と目の間に集中した。
「ॐ सह नाववतु सह नौ भुनक्तु सह वीर्यं करवावहै तेजस्वि नावधीतमस्तु मा विद्विषावहै
ॐ शान्तिः शान्तिः शान्तिः・・・・。 」
雄紀は、ふわふわとした気持ちになった。
不安から縮こまっていた、心が少し緩んできた・・。




