第百一章 〜 ヴィッディーの居た場所 〜
サンチェスと、マヤさんの、おじさんによる講義が始まった。
雄紀は、人間の腸内細菌に消化された媚薬をかけた、ヘスーサンの人々の細胞のサンプルのデータをまとめていた。
今の所、媚薬を投与した、ヘスーサンの人々の発光現象は、全く見られない。
雄紀自身の発光も完全に止まった。
雄紀は、時々、ふと 研究所での、ヴィッディーと居た日々を思い出した。
研究所内でも、ヴィッディーのことを覚えているのは、おじさんと雄紀のみであった。
ヴィッディーが使っていたロッカーは、知らない人の名札が入っていてた。
ヴィッディーの席があった場所には、机さえ置いていなかった。
ヴィッディーの軌跡は完全に消えていた。
ヴィッディーの存在の跡が消えてしまったことに、はじめは とても悲しく感じていた。
しかし、今は、何だか、ヴィッディーとの記憶が何か、とても特別な秘密を、おじさんと共有している様な感じがして、ちょっと楽しかった。
データの、まとめが終わると、雄紀は、久しぶりに家の周りを散歩した。
前に、家の周りを散歩したのは、何か月前だろう・・。
マーラに襲撃された時が最後だったかも知れない。
あの時と違って、今日は、サティアに貰った聖水がある。
自分自身に振りかけて魔除けにしている。
万が一、マーラが現れた時には、退治は出来ないが散らすことは出来る。
雄紀は、お城を遠目で見えるところまで行ってみた。
何だか、黒い靄がかかっているように見える・・。
雄紀は、広場にも行ってみた。
教会を遠目で見たが、やはり黒い靄がかかっているように見えた。
雄紀は、ソーハムが教えてくれた、秘密の入り口が麓にある木を視認した。
近くまではいかずに、雄紀は、そのまま研究所へ戻った。
そろそろ、講座のお昼休憩の時間だ。
雄紀は、講座が行われている部屋へ行った。
講座が行われている部屋は、ガラス張りの部屋になっている。
どうやら、サンチェスは、寝落ちせずに頑張っているようだ。
目をキラキラさせながら、おじさんの話を聞いて、電子黒板の写真を撮っては、ノートに写していた。
最初に、サンチェスが、中の様子を見ている、雄紀に気が付いて目で手を振った。
すると、おじさんと、マヤさんも気が付いて、お昼休憩になった。
最初に、おじさんが部屋から出て来た。
雄紀に、にこっと、ほほ笑んで通り過ぎて行った。
雄紀は、部屋に入って行った。
「講義はどうですか? 面白い? 」
雄紀は、サンチェスとマヤさんに聞いた。
「雄紀、とっても面白いよ。 先生の言うことを聞きながら、自分の頭の中で理解して、整理するのは初めてだから、ちょっと難しいけど、とっても楽しいんだ! すごく嬉しいよ! 」
サンチェスは、感激のあまり、半泣きになっている。
「とっても難しいわね。 ホテルに戻ってから少し整理しなくちゃ、理解すらできなさそう・・。 でも、サンチェスが良く分かってるから、後で教えてもらおっと・・。 」
マヤさんは、講座に一生懸命と言うよりも、講座を受けることを楽しんでいる、サンチェスを見て感激しているように見えた。




