第九十九章 〜 菌の媚薬の講習 〜
マヤさんの社用車の乗り心地が、とても快適だったせいか、雄紀とおじさん、サンチェスは、研究所に到着するまで、目覚めなかった。
マヤさんや、執事の人達は、食事で何度か車を停めたそうだが、雄紀には全く、その様な記憶は無かった。
マヤさんによると、3人が、あまりによく眠っているので起こさなかったそうだ。
遠距離用道路の休憩場所で、食事の為に車を停める度 執事の人が1人、マヤさんと休憩して、もう1人は、雄紀達に付いて居てくれたそうだ。
到着後、3人は、執事の人達に、お礼を言った。
まだ、早朝だったので、港町から持ち帰った備品を研究所に置いて、一旦、おじさんの家で休憩した。
そして、研究所に研究者が集まる時間に合わせて、皆、研究施設に降りて行った。
研究所は、媚薬が出来上がったことで、その設立の経緯の目的は果たされたので、外からの依頼の仕事や、メンテナンス作業を行っていた。
媚薬の資格の為の、講習会の役割も加わることで、なあなあになりつつあった、研究室の雰囲気が、少し引き締まった。
初日は、オリエンテーション。
研究施設の案内や、カリキュラム等の説明があった。
初日と、2日目から始まる、投薬業務に必要な、医学や化学等の一般常識、投薬等に使う備品の説明、使い方の講習は、おじさんが担当することになった。
そして、3日目の、ヘスーサンの人達が光る原理の講習は、雄紀が担当することになった。
4日目の、媚薬の講習は、サティア、もしくは、サティアの弟子のリプリーが担当。
5日目、6日目の実習は、おじさんと雄紀。
7日目の、筆記試験は、誰が担当するかは未定であった。
サンチェスが受ける、講習は、更に知識を深める為に、備品や媚薬、光る原理を深く掘り下げて行って、更に、歴史や関連知識、更に研究所とのやり取りのプロトコル等が、カリキュラムに組まれていた。
研究所の研究者のみんなが、この講座に対して、とても協力的なので、カリキュラムや、担当者の変更があるかも知れないとも説明した。
サンチェスは、カリキュラムの説明を聞いて、目を白黒させていたが、“学びたい”と言う情熱が不安を上回ったらしく、生き生きとし始めた。
マヤさんは、そんな、サンチェスを見ているのが楽しいようであった。
おじさんは、講習1日目の最後を、こう括った。
「これから、あなたたちは、媚薬の投薬について学んでいきます。 しかし、実は、“媚薬の投薬について”と一括りでは表現出来ない沢山のことが、その表現には隠れています。 何故、媚薬が必要だったのか。 何故、“媚薬”なのか、そして、媚薬を摂取することによって、体の中で何が起きているのか・・。 この事柄を学ぶと、もしかしたら、あなた方の人生観が変わるかも知れません。 これからの、マヤさんは、1週間、サンチェスは、2週間を楽しみにしていて下さい! 」




