表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

2)宣告

 その日、軍司令部からの移動の知らせに、艦内は騒然となった。

 “歌姫”の移動を命じる書類だった。兵士の移動は珍しいものではない。今回の移動でも、かなりの人数の乗務員が入れ替わる。問題は移動する乗員の一人が、“歌姫”だったことだ。


「お願いです。彼がいるこの船にこのまま所属させてください」

 “歌姫“の願いは、聞き入れられなかった。

治療槽から出る事ができない“闘神”は、この戦艦から離れることが出来ない。

「もう、何度も断った。だが今回ばかりは、無理だった。すまない」

艦長はいった。

「戦況が変わった。お前は優秀な“ダイバー“だ。お前を必要としている戦地がある」


 その日も、艦内に“歌姫”の歌声が響いた。

いつもよりもずっと悲しげな呼びかけに、多くのものが涙した。

「可哀想にな」

「上も酷いことをする」

「俺たちのことなんて、何も考えてないんだよ」

「何のための戦争でしょうね」

 長く続いた戦争だ。厭戦気分は前線で戦う戦艦でも珍しいものではなくなっていた。


―目を覚まして、お願いだから。もう会えなくなってしまう。お別れなのー

“歌姫”は一晩中呼びかけ続けた。“闘神”は目覚めなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ