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新たな師匠の肩書と模型作りの最高峰

最後の方、少しだけ文章を書き足しました。※12/14 3:45 追記

 友達認定された日曜日から、真白が家に来る頻度が少し増えた。

 四日に一度ほどから、三日に一度くらいの些細な微増だが。

 

 ただ確実に仲良くなってきていると思う。

 今までは土日が多かったが、学校がある日でも来るようにもなり、ボードゲーム、野球観戦以外の趣味の話もするようになっていた。


 そして、今日は総司の未知の世界に踏みこむ予定だ。


「準備できた?」

「多分、キットもちゃんとAMAZOOONから届いてた」


 テーブルの対面に座る真白は、エプロンをしていた。

 調理時の物ではなく、工作作業用のエプロンだ。

 ついでに長い銀髪は髪留めで纏め、ハーフアップにしている。


 学校の美術の時間を思い出させるような光景だ。

 芸術選択は総司も真白も美術を選んでおり、授業の時、真白は長い髪を汚さないように、普段は結っていない髪をまとめている。


 彼女はその時とほぼ同じような格好をしていた。

 今から、工作を始めるぞと準備万端の合図でもあった。


 そして二人は何を作るのか。

 それは……


「ボトルシップなんて初めてだから、緊張するな」

「大丈夫。そのために初心者用のキットを買ってるんだし」


 そう、今日作るのはボトルシップだ。

 テーブルの上には、ボトルシップ製作のキットが二つ分置かれていた。


「やっぱり、プラモデルとは難易度が違うよな」

「組み立てる要領は同じだと思う。でも、上級者になって来るとキットも無しで、完全自作だったりするからその辺りは全然違うと思う」


 総司はプラモデルを組み立てるのが趣味の一つだが、他の模型作りには手を出していなかった。

 なにせ、ボトルシップは模型作りの最難関、最高峰とまで言われているくらいだ。手を出していないというより、手を出しづらかったというのが本音である。


 なので、以前に真白から聞いていた彼女の趣味である、ボトルシップ製作に興味が沸いて、作り方を習ってみることにしていた。


「まずは、やってみる方が早いと思う」

「だな。今日はよろしく頼む」

「任せて」


 料理の師匠、片付けの師匠、そして今日新たにボトルシップ製作の師匠という肩書が真白に追加された瞬間だった。


         # # #


「そこは、ちょっと組み立てにくいから頑張って。焦らなくていいから」

「了解」


 いざ始めてみると、彼には分からないことだらけだった。

 彼女の助けが無いと殆ど進まない。


「力を加えるより、パーツが上手く嵌る位置を探して。見て、こんな感じ」

「こうか?」


 だが、苦戦しても彼女が適宜アドバイスしてくれるし、一度教えたことも嫌がらず何度でも教えてくれる。

 素晴らしい師匠だった。


「うん、プラモを作ってるだけあって、手先は器用だね」

「お前は教えるの上手いよな。要点をまとめてくれるし、分かりやすく実践してくれるから、難しくても苦にならない」


 真白の教え方は、やたらめったら褒めたり厳しかったりするものではなく、兎に角、教える側の視点に立って指導してくれるものだった。

 一緒に成長していくような感じだ。


 もっと的確に表現するなら、英語の授業で行う『repeat after me』だろうか。

 お手本の真似をさせることで上達を促す、そんなやり方だった。

 

 だから、総司も飲み込みやすいし、目の前にお手本があるから失敗も少ない。

 料理だけでなくなんでも教え上手という、彼女の新たな一面を発見した。


「楽しくないと意味ないし。それに失敗したら悲しいから」

「極夜って、教師とかに向いてるような気がするな」

「そう?」

「ああ。お前が学校の先生なら、絶対に授業をきちんと受けるな。大体の先生の授業は面白くないし」

「私じゃなくても、授業はちゃんと受けないと」


 学校の教師たちに失礼なことを言う総司を注意しつつも、真白はちょっと嬉しそうにしている。

 普段から褒められ慣れているはずだが、一々素直に受け取れるのは彼女の美徳だろう。


「わかった。授業を真面目に受けよう」

「おっけー」


 そう言うが、やはり真白が自分の教師だったらなと総司は意味のない夢想をしつつ、ボトルシップ作りを続けた。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

面白い、続きを読みたいと思って頂けたら、ブックマーク、☆☆☆☆☆に色を塗って評価などをして頂ければ、大変嬉しく思うと同時に励みになります。


明日も、二話から三話ほど更新していきますのでお待ち下さい!

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