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閑話

 先日のプール以降も真白とは相変わらずボトルシップを作ったり、麻雀を教えたりとそれほど変わりない夏休みを送っていた。


 雪菜や飛角らはみっちり予定を詰めていたらしく、2号室へ行った時に会う程度。


 けれども昼前頃、珍しく飛角が総司の部屋を訪れていた。


「へぇー、なんや物が増えとるやん」

「ボトルシップなんかは真白と作ったやつだな」


 以前、真白から殺風景だと指摘された部屋は、ボトルシップやプラモフィギュアなんかが置いてあったりする。


 前々からこの部屋の様子を知っている飛角が、興味深そうに呟いていた。


「しっかし、ホンマ生活感が出てきたなぁ。全部、彼女のおかげか?」

「家事全般、教えて貰ってるからな」

「お前、花嫁修業でもしとんのか」

「入学前に死ぬ思いし、二度とあんなことになりたくないし」

「同級生の女子に世話をしてもらっとるの恥ずかしことなんやで?」


 飛角が容赦なく言う。

 全くもってその通りなので、この点に関しては言い返す余地はない。

 

 それに飛角はそこそこ生活力のある人間だ。

 総司は口を噤むしか無かった。


「けど、お前は服全部五十嵐に選んで貰ってるんだろ? それはどうかと思うけどな?」

「僕のセンスより雪菜の方がええんやからしゃーないやろ。それにアイツ、ペアルックとか好きやしな」

「ほんと仲良いよなお前ら」


 飛角と雪菜のバカップルぶりは、以前から顕著だが聞く度にその度合いが増しているように思える。


 総司がいる時ですら二人はずっとイチャコラとしていて、げんなりさせられるのだからたまったものではない。


「総司も彼女作れば分かるで? 自分にはこの人しか居らへんって毎日思うようになるわ」

「全く想像がつかん」


 予想以上の惚気けっぷりだ。

 高校生にしてそこまで言うとはよっぽどなのだろうが、総司には恋愛がよく分からなかった。


 けれども、飛角が彼女を想っているのは伝わってくる。

 ペアルックに始まり、飛角が体調を崩した時は真面目な彼女が学校を休むほどだったりする。


 総司から見ても、実にお似合いの二人だろう。


「総司、極夜ちゃんのこと好きやないんか?」

「好意があるんだろうとは思うけど、好きかと言うとどうなんだろうな?」


 真白に対して、それなりに良く思っているのは自覚していた。

 初めの頃より、距離は近くなったと思う。

 だが、それが恋愛感情かと問われれば疑問符がついてしまう。


 いつのまにか飛角が真白のことを極夜ちゃんと呼ぶようになっていることのように単に友人として距離を詰めているのか、恋愛対象としてなのかはっきりしない。


 そもそも自分とつり合うような少女ではないし、何より彼女が言った()()()()が忘れられない。


 それらの関係がはっきりするまで答えが出せないでいるのだ。


 だから、彼は「おいおい自分のことやろ。しっかりしぃーや」と呆れている飛角に向かって、苦笑だけして「何で遊ぼうか」と尋ねた。


         # # #


 折角、部屋に来たのだから駄弁っているだけなのも味気ないだろう。

 夏休みの宿題がそこそこ残っているが、男二人で勉強なんて殊勝なことをするはずもない。


 二人はダイニングテーブルにオセロを広げて遊んでいた。


「総司がオセロをやりたがるの珍しいやんか。オマケに強くなっとるし」

「極夜に鍛えられてんだよ。あいつめちゃくちゃ強いから」

「確かに強そうやわ。口数少ないやつって強キャラ感あるしな」

「そもそも、あいつは器用だから大体のゲームは強いぞ。大激闘とかマルカーとか。あと、シューティングゲームも上手いな」


 真白のハイスペックさは、学業、家事にとどまらずゲームですら発揮される。


 一緒に遊んでいた総司も自ずと強くなるが未だに差がある。

 悔しいので飛角を相手に練習しようとオセロを提案したわけだ。


「雪菜はめちゃくちゃ弱いんやけどな。特にテレビゲーム系」

「確かお前らが遊ぶ時はゲームしないんだろ」

「せやで。アイツ勝てへんから不機嫌になるし」

「大変だな」


 温厚で清楚ないつもの彼女からは想像できないが、雪菜は負けず嫌いだったりする。


 飛角は飛角で苦労しているらしい。

 ただ、「そんなところも可愛いんやけど」と無意識に惚気られる。


 彼は「そうか。良かったな」なんて興味なそうに返すようなやり取りを続けながら、オセロをしていると……


「お、雪菜からビデオ通話来とるわ」

「こっちはいいから出てやれば?」

「すまん」


 一体何の用かは知らないが、恐らく大したことでは無いのだろう。

 雪菜から飛角にビデオ通話がかかってくるのは時々ある事だ。


 今日は真白と二人でシフトに入っているが、時間的に休憩にでも入った頃だろうか。

 どうせイチャイチャされるだけだし、自分がいても好きに会話できないだろうと気を利かせ寝室に移動した。




 暇なので本棚の漫画を漁っていれば、ベッドに放置していたスマホが鳴り出す。


「真白、お前もか」


 飛角に掛かってきたように同じく、総司にもビデオ通話の着信が来ていた。

 思わず歴史上の名台詞みたいな口上で総司は応答する。


 そうすれば、「もしもし? あなたはカエサル?」なんて冗談を真白が返してくるのだから面白くてつい笑ってしまった。


「何かあったのか?」

「ううん別に。えっとそれでね、五十嵐さんが馬竜さんに電話してたし、暇だから私も掛けてみた」

「そ、そうか」

「うん」


 それきり会話が続かなかった。

 画面の向こうでは真白が何を話そうかとおどおどしているのが面白い。


 彼女がこうしてビデオ通話を掛けてくるなんて初めてのことだ。

 総司は少しばかり黙って観察することにした。


「…………」

「あの、来週の花火大会だけど休みだし行く?」

「いや、それ前に約束したと思うんだけど?」

「あ、あ……そうだった! ごめん。なんにも話題が思いつかなくて」


 花火大会の約束は既にしてある。

 会話の話題に困った彼女は、混乱しているようだ。今はシュゥと湯気が出そうなくらいに赤面していた。


「思いつきで掛けてくるからだろ。真白がテンパってるのは面白かったけどな」

「どうりで話さないと思ったら」


 少しご立腹な真白から恨めしそうに睨まれる。


「悪い悪い」

「総司くん、偶に人が悪くなるから嫌い」


 謝ってはいるものの総司は然程悪びれる様子もない。

 一方、真白はそっぽを向いて怒っていた。


「そういや明後日の登校日、昼から飛角とラーメン食いに行く予定なんだけどお前も来るか?」


 顕著な反応が返って来るから揶揄い甲斐はある。

 ただ、あまり揶揄いすぎても後々が怖いので総司は適当に話題を振った。


「明後日は五十嵐さんと遊びに行くことになったからラーメン屋さんは行けない」

「そうか。んじゃ、偵察してくるから美味かったら今度行こうか」

「おっけー。でも私を揶揄ったから総司くんの奢りで」


 そっぽを向いていた真白が答えてくれるが、最後にそう付け加えられた。

 抜け目ないと言うか抜かりないというか、ちゃっかりしていて彼は苦笑する。


 適当に駄弁っていると、部屋の外から飛角の声が聞こえてくる。

 向こうは通話が終わったのだろう。総司も通話を切ることにした。


「あ、花火大会の日、浴衣と私服どっちがいいと思う?」

「どっちでもいいんじゃねぇの?」


 ふと切る直前に真白から当日の服装を尋ねられる。

 真白の浴衣姿を見てみたくない訳では無いが、浴衣と答えるのも恥ずかしいので総司はそう答えた。


「なら浴衣着ていく。楽しみだね。じゃあばいばい」


 どうしてその結論に至ったのか分からないが、真白は当日浴衣を来てくることにしたらしい。


 にこやかな表情の真白が手を振ってから通話は切られた。


(よく分からんが楽しそうにしてるならそれでいいか)


 何を考えてのことなのかさっぱり検討も付かず、俺は私服で良いやと、総司は独り言を言いながら寝室を出た。


         # # #


「あ! お前、駒を弄っただろ。ほとんど白くなってるし」

「そういう時もあるやろ」

「あるわけないだろ。ったく。やり直しだ」


 寝室から戻ってくると、総司の盤上の黒い駒は一つだけになっていた。

だいぶ間が空いてしまいすみません。

車の免許を取得したり、その試験勉強してたりとうだうだとしてたらこんなことになってました。


あと、PCが壊れてしまったのでスマホで書いているのですが、変なところあったら申し訳ないです。

一応、何度か全部を確認はしてるんですけども……


兎にも角にも、今後ともよろしくお願い致します。

またページ下の☆☆☆☆☆をタップして頂ければ、評価とかできますので、よろしければそちらもお願い致します!


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