はい、はい!
「——— よお」
「よお…… 」
神々が用意したバトル舞台の上で旧友と向かい合う。
「しかし小せぇなぁ…… 本当にオマエ鈴木か?あぁ? なあ鈴木…… 悪い事は言わないから戦闘開始スグにギブしろよ」
「ん…… ? なんで? 」
俺に投げかける言葉に首を傾げると、旧友はニヤニヤと汚い笑顔を見せる。
「鈴木ぃ——— ! テメーが行った世界の事を聞いたぞ? ロクに神様がいない不毛な場所らしいじゃねーか! 」
「あ…… ああ、そうだが…… な…… なぁ、オマエは地球で過ごした時…… そんなだったか? 」
地球で過ごした日々はもうだいぶと前の事だ。
しかし、コイツはこんなじゃなかった。
俺は旧友の変わり様に唖然とする。
そんな俺の顔を見て旧友は笑う。
「なぁ? 鈴木ぃ? テメーの行った世界じゃあ魔法も工業文化もなぁーんも無ぇんだろ? どう考えたらこの俺様と戦えると思うんだ? アッハッハッハ! 」
「ったく、 なんなんだよ…… 」
旧友は近未来的なボディースーツで全身を包んでいる。装備から微かに魔力を感じるな…… 科学と魔力を合わせた装備かよカッチョいいなぁ。
旧友は俺を見ながらニヤリニヤリと笑い手品のように銃を虚空から出現させた。
おいおい、俺の服…… ただの麻の前合わせと綿のズボンだぞ?
どれだけ不公平なんだよ……
「これもな…… 銃に光魔法を加え光子を打ち出せる武器だ…… 鈴木、チビになったテメーなんざ跡形も残らんぞ? 降参しろ、な? 」
「嫌だって…… 何で降参せにゃならんの? 」
「———— チッ…… 分かった、死ねよ鈴木…… !! 」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
グダグダな雰囲気の2人の間に天空の雲が渦を巻き降りて1人の御老人という見た目の神様が降臨する。
『これより、戦闘を開始する…… まぁ一方的な戦いになるから"戦闘"とは呼べないだろうがね』
ニヤリと神が旧友と笑い合う。
なんだよ随分と仲良いないいな……
「さぁーーー! 鈴木を殺して女と遊ぼっとぉーー! 」
『これこれ、もう少し待ちなさい…… ホッホッホ 』
キモいな…… 俺が負けるみたいじゃないか?
…… え? 負けるの? 俺?
「はぁーっ…… 早く始めてくれませんか? 」
面倒なので溜息と一緒に催促の言葉を出す。
ニヤッと神がこちらをチラ見して小声で旧友と二言三言を話し舞台から距離を取ると手をあげる
『では! これより無神世界と我の世界との戦いを始める————————— ファイト‼︎‼︎ 』
神が勢いよく手を振り下ろす
それと同時に旧友……———…… いや、敵がこちらに銃口を向ける。
「死ね! —————— うげえっ! 」
「死ねとか神の前で言うかね? 」
しかし…… コイツ動き遅いな。
他の世界の事情は知らんが……
俺は銃を構えて射とうとする前から瞬時に移動してガラ空きの脇腹にパンチをメリこませた。
ペキ…… ベキベキベキ…… !!
「うがぁぁ…… なんだと? 攻撃が…… とおるだと? 」
敵は目を白黒させて自身の未来的なスーツを見ながら呻る。
「うん? いや? いやいやいや、弱くね? 」
敵は俺の言葉にポカンとした後、顔を真っ赤にして睨みつけ腰にあるビームサーベルを抜こうとする…… が!
ベキベキ!
「かぁっ! 痛い痛い! いたい! 」
ビームサーベルを掴んだ敵の手をぐっと握りしめた拳骨で潰した。
「おいおい、 マジか? 他の世界はこんな楽なんか? 」
「…… うぇ? 」
鼻水と涙を流しながら敵は俺の顔を見ていた。
これは、俺が強くなる為の物語。
まずは、そう地球にいたあの日から話をしなきゃダメかな? ———————————————
よろしくお願いします。