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第三節 ペットショップ

――3階。


「ダッダッダッダッダッ」


身体と逃隠が体液の痕を追って走っている。


「ザッ」


遂にゾムビーの姿を確認する。


「……ここは?」


身体達が辿り着いたのは、ペットショップがあるフロアだった。


「ゾ……ゾ……」


ゾムビー達は子猫や子犬が入れられているケージに、3体ほど群がっていた。




「こラ! 何をやっているんダ⁉」




逃隠がゾムビーに向かって言う。


「ゾ……ゾ……」


ゾムビーは逃隠を相手にしない。




「にゃー」




子猫の入ったゲージを見つめるゾムビー。




「ゾムバァアア」


「バシャアア……ジュウウウウ」




ゾムビーはゲージのアクリル板を体液で溶かした。




「!」




「⁉」




驚愕する身体と逃隠。


「……何をする気だ……?」


身体が言う。


「にゃー、にゃー」


ゾムビーを見つめる子猫。




「ゾムッ!」


「バシャアア」




その顔目掛けて、ゾムビーは再び体液を吐き出す。




「にゃー……にゃ……ぞに……ゾニャ……」




子猫はゾムビー化した。


「! そんナ! 猫さんガ!」


逃隠は落胆する。




「ジュウウウウ」


「にゃ……」


「ジュウウウウ」




次々と子猫をゾムビー化させるゾムビー達。3体の猫型のゾムビーが出来上がった。




「ゾニ……ゾニャ……」




逃隠にヨチヨチと近付いて来る1匹の猫ゾムビー。


「あア……」


膝を着き、両手を差し伸べようとする逃隠。


(こんな子猫にまデ……)


目が潤む。


「ゾニャ……ゾニ!」




「バシュッ!」




猫ゾムビーから体液が!






「バッ」






逃隠の体が、ガッと後ろに引き寄せられた。


「ハッ⁉」


身体が、逃隠の首元を片手で担いで立っていた。




「愚か者!」




身体が言う。


「心苦しいが、アレはゾムビーだ! 倒すべき敵だ! 油断していると、お前もああなってしまうぞ‼」


「うス……」


逃隠が下を向く。バッと身体が手を放す。


「ザッ」


着地する逃隠。身体が口を開く。


「……行くぞ! 被害をこれ以上拡大させないために!」


「はイ! 副隊長ォ!」


答える逃隠。


「ダッ」


走り出す身体。


「ゾ?」


1体のゾムビーが、それに気付く。


「ふん!」


「ドッ……バシャアア‼」


右半身からの体当たりでゾムビーを粉砕した。ペット売り場のアクリル板に、ゾムビーの破片とその体液が掛かる。




「クゥン……」


「にゃあああ!」




不安がる子犬や子猫。一方で逃隠。






「たりゃああああア‼」






ゾムビーの1体に向かって行く。


「ガッ」


スーツを着用した手でゾムビーを掴む。




「んガッ」




柔道の俵返しの様にゾムビーを自分の後ろへ放り投げる。


「ゾゾォ‼」


投げ飛ばされ、多少のダメージを負うゾムビー。しかしすぐに立ち上がる。


「サッ」


顔の部分を、両手を使い構え、ガードする逃隠。


「はああああア‼」


そのままゾムビーへ向けて走り出す。




「ゾ……?」


「バシャアア‼」




逃隠の体はゾムビーを貫いた。






「ゾニ……」


「!」






逃隠の前に1匹の猫ゾムビーが現れる。


「うウ……」


それを見つめる逃隠。




「ガッ」




身体はその猫ゾムビーの腹を蹴り上げた。


「バシャアア‼」


破裂する猫ゾムビー。


「ベシャ……」


肉片が床へと落ちた。身体は口を開く。


「……何度も言わせるな。コイツは倒すべき敵なんだ。お前がどうしても倒せないというのならば、俺がやる」


そう言って身体は動き出す。




「ガッ」


「゛ニィイイ」






「ドガッ」


「ゾニャア」




1匹そしてまた1匹と、身体は猫ゾムビーを倒していく。


「あア……くソ!」


逃隠はそれを直視できなかった。






「……終わったぞ」




「!」




身体の一言で、顔を上げた逃隠。逃隠の目に映ったのは、3匹の猫ゾムビーの残骸だった。


(こんナ……残酷な事ニ……くソ! ゾムビーさえ居なけれバ、こんな事にハ!)


キッと最後の1体となったゾムビーを見つめる逃隠。そのゾムビーはペットショップの奥にあるケージの近くで、子犬や子猫を見ていた。




「ゾ……?」




が、遂に1体のみとなり、身体や逃隠の方を確認した。


「やイ! クソ野郎! とうとうお前一人になったナ! お前も仲間と同じようニ、ぶっ潰してやル‼」


逃隠が叫ぶ。


「……ゾ?」


動じないゾムビー。




「ピキッ」




「この糞野郎ぉおおおオ‼」


怒りを顕わにする逃隠。両手で顔をガードし、突進する。しかし、






「ガッ‼」






ゾムビーの体に弾き返される逃隠。


「ガッ……ガッ……ズサァ」


弾き返され、床を二度三度跳ねた逃隠だったが、最後には両足と片腕を使って着地した。


「ナ⁉」


(……硬い)


驚愕する逃隠と身体。


(これが、隊長の話していた、ツトム達が出会った石のゾムビー)


身体が思いを巡らせる。


「副隊長ォ!」


逃隠が叫ぶ。


「サケル、分かっている。……これが噂の、石のゾムビーなんだな?」


「はイ!」


身体の問いに逃隠が答える。


「……そうか。ここは俺に任せてはくれないか?」


ス――っと息を吐き、構える身体。


「コイツとは、一度手合わせしてみたかったものでな」


いつにも増して真剣な表情になる身体。


「お前は残ったペット達を守っていてくれ!」


走り出す。




「ガッ‼」




拳が届く範囲に入り、全力で右腕を振るう身体。平然と持ちこたえる石のゾムビー。(……やはり、硬いか……しかし!)




「ガッ‼」




「ゴッ‼」




「ドッ‼」




左腕のボディブロー、右ストレート、左脚によるハイキックを続けざまに繰り出す身体。


「これだけの手数を打っていけば、その硬さに綻びが生まれるのでは⁉」




「……ゾ」




その時、石のゾムビーが不気味に声を上げた。




「⁉」




左脚を上げたままの身体、そこには大きな隙が生じていた。


「ゾゾォ‼」


身体の右腹部を目掛けて殴打を繰り出すゾムビー。




「ゴッ!」


「かはぁっ」




大きなダメージが入る。よろめき、数歩後ずさりする身体。


「な……成程。……防御面だけでなく、攻撃力も上がっているという話は、本当だったんだな……だが!」


再び一歩前へ踏み出し、右腕を振るう身体。


「ガッ!」


「……だからと言って、ここを退く訳にはいかないので……な!」






「クゥン……」


逃隠の後ろのゲージの中で、怯えている子犬


「よしよシ。大丈夫だからナ……」


(……身体副隊長)


逃隠は身体の方を見る。




「ガッ‼」


「ゴッ‼」


「ガガッ‼」


「ドッ‼」




激しい攻防が繰り広げられる。殴打を繰り返しつつ、身体は石のゾムビーの攻撃を強化スーツの力を借り、腕等でガードしていた。


(……硬い……そして、相手の一撃は……重い……。相手の手数が少ないのが、救いだが……)




「ゾゾォオオオ」


「⁉」




突然雄叫びを上げるゾムビー。そして、




「ガッ‼」


「ガッ‼」


「ガッ‼」


「ゴッ‼」




ゾムビーは連続で攻撃を仕掛けてきた。


(! ……相手の手数が、増えた! 堪え切れるか……?)




「ゾムゥ!」




「ガッ‼」


「ガッ‼」




「ボキッ」「うっ!」




ゾムビーの重い殴打の応酬に、耐えきれなくなった身体の左腕は前腕部が骨折した。


「ダラン」


右腕の前に構えてガードしていた左腕だったが、力が入らなくなり垂れ落ちてしまう。






「う……うぉおおおおおおおお‼」






右腕だけでゾムビーに向かって行く身体。




「ガッ‼」




右拳をゾムビーに打ちつける。


「ゾ?」


その一撃も虚しく、ゾムビーにダメージは与えられない。




「ゾゾォ‼」




今度はゾムビーの反撃。




「ドゴォオ‼」




身体の腹部に強烈な一撃を喰らわした。


「がはぁああ! ……ああ」


身体は膝を着き、そしてうつ伏せに倒れた。






「身体副隊長ぉおおオ‼」

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