表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
shootinng☆star  作者: ISATO
2/3

~気づかないうちに求めてしまう~

~気づかないうちに求めてしまう~


 遮光カーテンを閉めた真っ暗な部屋、今が朝なのか夜なのか分からず。トイレとお風呂以外は布団から出ることもせず、食欲もない為水分だけ取ってむさぼるように寝て過ごしていた。スマホも、退職日から電源を落としている為、あの日から何日たっているのか分からない。前を向いて生きようと決意したが、大学は通信大学の為学校に行くこともなく、誰かの為ならともかく自分の為に何かをしようと考えたこともない私は、結局外の世界から遮断をして部屋に引きこもる生活を送っていた。

 さすがに、このままではもっと自分を追い込んでしまいそうになる為、スマホの電源を入れて日付と時間を確認することにした。驚いたことに、あの日から3日経っていて時刻はもう夕方だった。時間が分かると、小腹が空いたのでキッチンへ向かった。冷蔵庫を開けてみると、食材が入っておらずほぼ空っぽの状態だった為、仕方なく近くのコンビニへ向かうことにした。

 オレンジ色の綺麗な空を見ながら、久しぶりの外の空気に心地よさを感じつつコンビニへ向かった。

「いらっしゃいませ」

 駅から離れた、少し広めのコンビニは人も少なく有線だけが響いている状態で、Tシャツと短パン姿の状態でも特に問題なかった。お店の中をウロウロしても、何が食べたいのか分からなかった。ふと、レジを見るとホットスナックの並びに、中華まんの棚が100円セールをしていたので肉まんを1つだけ買うことにし、なんとなくあの暗い部屋に、戻ることが嫌で川沿いの公園で食べることにした。緑が広がる自然公園で川を眺めながら、食べた3日ぶりの食事は胃にしみたが満足感に浸れた。

 しばらく、川を眺めながら今後のことについて考えることにした。通信大学だからといって、今までのように働くことは難しいし、とりあえずアルバイトで雇ってくれそうなところを探すしかない。何をしたいのかも分からない私は、無料配布されている求人雑誌をパラパラめくっていると1つの求人に興味を持った。

「仲間と一緒に楽しく働こう!!カラオケ店!時給1000円」

 仲間とか、アットホームをつける求人はブラックが多いというが時給1000円はかなり惹かれる。カラオケ店でのバイト経験は皆無だが、アルバイトだし面接を受けるだけやってみようかと思えた。やるべきことが見つかり、前に進むだけだと考えれば自分を悲観的に感ずることがなくなる。やる気も出て、気分もよくなったしそろそろ家に帰ろうとした。その時、前から手をつなぎながら仲良さげにしているカップルがいた。その人たちのことを知っているわけでもなく、自分とは無関係な人たちだが固くつないでいる手を見ると胸がギュッと締め付けられそうになる。

『なんで、あの人たちは幸せそうなのに私には何もないの?』

『どうして、自分は幸せになれないの?』

 ただの嫉妬だということは、重々承知だ。自分から、捨てたのも分かっている。もう、人のぬくもりを求めないと誓ったのに、幸せそうな人たちを見ると自分の心が薄汚れていることを再確認してしまう。こんな汚い自分が嫌になり、家に着くやすぐにトイレに駆け込んだ。


 どうして、人は知らず知らずのうちに人のぬくもりを求めてしまうのだろう。

 傷つくと分かっていても、人と触れ合うのだろう。

 そう思ってしまうのは、自分の心が汚いからなのでしょうか。

 神様、いるなら教えてください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ