第2話
響夜は辺り一面真っ白な空間で目を覚ます。
「ここはどこだ?」
「ここはこの世とあの世の狭間みたいなとこだよー」
若い男のおどけたような声が聞こえる。
「この世とあの世の狭間!? そういえば、俺は確かクロムハ〇ツが突き刺さって死んだはず…」
「僕は地球で言うところの神様なんだけど、神様でも凡ミスはするもんだね! 僕が天界からアクセサリー落っことしちゃってね☆ いやあ、君には申し訳ないことをしたよ」
「はぁ?まさか、お前の落し物で俺は死んだのか!?」
「理解が早くて助かるよ!」
「ふざけるな! お前、何凡とかつけて軽い感じにしてんだよ! 人1人死んでんだぞ! 夢だってまだ叶えてないのに!つーか、神様が何でクロムハ〇ツなんか持ってんだよ!」
「落ち着いてよ。 君はまだ生き返るチャンスがあるのさ!地球には無理だけど、異世界に転生させてあげよう! どうせあのまま生きてても君じゃ金持ちにはなれなかったし。 クロムハ〇ツ、カッコイイよね!」
「金持ちなれないってどういうことだよ!そんなん分かんねーだろうが!」
「君はあのままだと年収1500万くらいのサラリーマンの部長にまではなれたよ。 でも、君のイメージする金持ちには到底届かないんだなあ(笑) でも、異世界に行けば地球の知識を使って一攫千金も夢じゃないよ!それに今ならお詫びとして君たちが大好きなチートも1つプレゼントしよう!」
「まじか… 俺は金持ちになれなかったのか… だが、確かに異世界に行くのはチャンスかもしれない。」
響夜は高校時代にラノベやアニメを好んでいたため、そういった知識は腐るほどある。
「その気になってくれたかい?」
「ちなみにチートは何をくれるんだ?」
「君の適性属性のレベルをMAXにまで上げてあげよう!向こうの世界にもスキルレベルMAXにまで極めている生物は100にも満たないんだよ?」
「魔法レベルMAXか…微妙だな。金持ちになるには使えない能力じゃないか。」
「微妙と言われても変更は不可能だからね。残念だけど頑張って(笑) ただ、一流冒険者や宮廷魔術師になれる可能性は秘めてるから安心しなよ」
「冒険者や魔術師だと所詮年収1500万のサラリーマンと同じレベルじゃないか? やはり、貴族や王族に転生させてくれよ」
「それは申し訳ないけど出来ないんだよ。自分で稼いでこそお金には価値があるんだろ?」
「それもそうだな。よし、転生しよう。ところで、赤ん坊からスタートなのか? 」
「肉体は新しく作ることになるから転生だけど、年齢は君が選択してもいいよ」
「じゃあ、向こうの成人年齢にしてくれ。長生きしたいが、何からも拘束を受けたくないからな」
「了解したよ。それと君の属性は向こうの肉体での適性だから、今は分からないんだ。向こうに着いたら『ステータス』と念じてごらん」
「分かった。他に説明することが無かったらさっさと転生させてくれ」
「おっ?やる気満々だねぇ(笑) よし、分かった!君の新しい命に幸あれ!」
こうして響夜は異世界へと旅立っていった。