貴方は誰ですか?
少し夕日のかかった空に私の影と彼の影
_____いったい貴方は誰なんですか?
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頭の中で考えをめぐらせて、ふと気づけば
彼の姿は見えなくなっていた
「あれ、」
屋上から出て行ったなら、ドアの音でわかるはず
でもドアが閉まる音なんて聞こえなかったし
「飛び降り、、なんてね、」
背筋が凍る感じがして急ぎ足で病室に戻った
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あれから一週間
あの時彼の歌っていた歌が頭から離れなくて
気づけば口ずさむようになっていた
今までこんなに胸をあったかくする唄に出会ったことがなかったから
看護師の弥生さんがお昼を持ってきてくれたのにも気づかなかった
弥「なんていう歌?」
「あ、弥生さん。この歌きいたことある?」
弥「ないわよ笑」
「私もないんだけどね。ある人が歌ってて自然とおぼえっちゃったの」
あの時何の歌か聴いておけばよかったな
あとで屋上に行ってみようと思いながらあまりおいしくない
栄養だけを考えられて作られたご飯を口に入れた
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屋上に着くと
『あ、来ると思ってた』
そう言ってふわりと微笑む彼
「あの、歌聴きたくて」
『あの歌、気づいたら口ずさんでたんだ?本当に君はわかりやすい笑』
「っ、」
まるで私の心が見えてるかのように淡々と話す彼
「あの歌って、なんて名前ですか?」
『ん~、』
少し考え込むように
『名前はないんだ』
__________俺と同じように
そう彼は言った
”名前はない?”
”俺と同じように?”
彼の言葉の意味が理解できなくて
理由を聞こうと口を開いた瞬間
目の前が真っ暗になって、
黒い底のない大きな穴に落ちるように
私は意識を失った________
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