落ちた…
次の日。
私は風邪をひいていた。
きっとプールの後、髪を髪を乾かさなかったからだ。
身体がエラくて寝ているしかない。
熱のせいで頭が上手くまわらない。
そんな、弱った脳みそで、無限ループのように考えていた。
なんでキスされたのか?
なんでメェェェー(※要ビブラート)なのか?
王子は私を好きなのか?
もし、好きならなんでメェェェー(※要ビブラート)なのか?
手が触れて引っ込めるようなシャイボーイがなんでキスなんかできたのか?
シャイならなんでメェェェー(※要ビブラート)なんて言えるのか?
王子のメェェェー(※要ビブラート)が頭から離れなかった。
四六時中そんな事をを考えているせいで、頭の中が羊と王子でいっぱいになった。
…ドクリ…
…ドクリ…
あの時みたいに心臓がなる。
…ヤバイ…
苦しい、会いたい…
でも、そんなわけない。
会ったその日にキスするような男なんて私が1番嫌いなタイプだ。
絶対違う、絶対違う、好きなんかじゃない。
…ドクリ…
…ドクリ…
脳みそに心臓が抗議する。
脳みそが考える。
恋と風邪は似ている。
気がついた時には、もう熱が出ていて
苦しくて、
実感するのだ。
「ヤバイ…風邪ひちゃった」って。
この風邪がただの風邪で、重い病気ではありませんように…
この恋がいつものような薄っぺらいもので、
本当の恋ではありませんように…
私は振り子を振った覚えもないし、歩いていたら、地面がなくなって穴に落ちてしまった気分だ。
恋はこうやって落ちるんだ。
振るんじゃなくて、落ちるんだ。