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ピラニアの夜

帰りも王子に送ってもらった。

家の前に着いたのが23時45分だった。


今日はまだ家の灯りがついていて、家族が寝てないのがわかった。


「ふぅ…」


小さなため息がこぼれ出た。


そんな私を見て王子は言った。

「遅くなっちゃたから、お父さんに怒られる?」

「出かける時、機嫌わるそうだったもんね。」

「オレ、お父さんに見られちゃったもんなー」と鼻にしわをよせた。


「いやいやー。そんなことないよ。」

「気を使わせてゴメン…それにあの人はお父さんじゃないんだ」私は明るい声で言った。


山本さんがお母さんの彼氏だという事、

家に居場所がないことを王子に話した。

こんな話、誰にもしたことなかったのに王子には話してしまった。


お礼を言って車を降りようとすると、王子が言った。

「ピラニア好き?」


私の頭には「?」が浮かんだけど、

「見たことないからわからない」って答えた。

王子はピラニアを飼ってて、見においでと誘ってくれた。1時間くらいすれば家族もみんな寝ちゃうでしょ?といってくれた。


家に行くのは少し緊張したけど、部屋に入るとそんな事は忘れてしまった。


青く照らされた水槽で何匹ものピラニアが泳いでいた。

幻想的だった。

ピラニアは怖い印象だったけどこんなかわいい顔しているんだなんて思いながら水槽を見つめた。


王子がいたずらっぽく私の手をつかみ、水槽に入れようとする。

私はキャィキャイと楽しそうに抵抗した。




さっき不意に手が触れた時はあんなに早いスピードで引っ込めたのにと、なんだか少し面白く思った。




…あったかい…


今は王子の大きな手が私の手を包みこんでいた。



そんな事を意識してしまったせいで、私のキャィキャイしていた声が途切れた。


意識したのがバレてないかと王子ね顔色を伺うと至近距離で目があった。


0.1秒後、王子が私にキスをした。




ドクリ…ドクリ…

心臓が2回なり、唇は離れた。


スゴく近づいたせいで、私の香りか王子の香りかわからないけど、プールの塩素の香りがした。






沈黙の時間。


私は少しパニックになっていた。





「メェェェーぇ」かなりリアルな羊のモノマネ。


私は「なんでっ?」と心からのツッコミを入れた。


そして、2人で笑った。




家の前に再び送ってもらったのが夜中の2時半。

当然、家の灯りは消えていた。

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