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遊んでそう…
夏休みも間近にせまったある日。
4時間目はプールの授業だ。
校舎から近くのプールへ移動していた。
私の通う高校はどちらかといえば、お金もち学校で頭が悪くてもお金を積めば入れる学校だ。
だから、設備もほどほどで校舎を出て室内プールへとむかう。
道をはさんだところにある、カフェを見てクラスメイトが騒いでいた。
どうやら、王子と呼ばれるかっこいい人が働いているらしい。
視線をむける。
きっとあの人だ。
長身で黒髪の整った顔をした男の人。
白いシャツに腰に巻いた紺色のエプロンが似合っている。
テラス席の女性のお客さんに飲み物を出していた。
その女性は飲み物なんてチラリとも見ず、彼の顔に見惚れていた。
彼の作りものみたいなキレイな笑顔を見て
「遊んでそぅ…」
小さい声で呟いた。
私の王子への第一印象だ。