視点
また僕がいたのは、真っ暗な闇の中。
今は、エルの声は聞こえない。
でも……何かが見える……。
『はい、あーん』
『……え』
ぼやけてよく見えないけど……これは昨日の僕と、ソフィーナさん?
ここは、リビング?
『あーん、です』
『……美味しい』
ソフィーナさんにシチューを食べさせてもらいながら、ミレイヌに服についたシチューを拭いてもらってる……。
僕が僕を見てる……いや、違う。
これってもしかして……アリティアから見た、僕ら?
ぼやけてよく見えないけど、真ん中にいる男の子……あれが、僕だよね?
『ふふ、もう一度。あーん』
『あ、あーん……』
どうして、見えるんだろう?
『うう、なんだかソフィーナさんが羨ましいですぅ……』
『まるで赤ちゃんね』
アリティアの、視点が……。
「――ッ!」
僕は飛び起きた。
明かりのついていない僕の部屋は、暗くて時間がわからなかった。
「今のは、一体……う……」
考えると、頭が痛くなった。
僕は考えないようにして、またベッドに潜り込んだ。
でも先程の光景がなんだか恐ろしくて、眠ることはできなかった。
しばらくしてミレイヌに呼ばれてリビングへ降りたけど、そこにはやはりアリティアはいなかった。
3人だけの夕食だったけど、ソフィーナさんもミレイヌも全く寂しそうにはしていなかった。
何だか心に、ちくりと棘が刺さったような気がした。




