本物の幸せ
「結局、名無し君の生命は無くなっちゃったね」
「うん……僕の体、ミレイヌに取られちゃったもんね」
「でも、ミレイヌの意識は戻らないだろうね。そのまま集まった魂が反抗して、永遠という死より苦しい闇の中を歩き続けるんじゃないかな。そのうち精神崩壊しても尚永遠に、ずーっと」
「……リーゼロッテ、君って結構残酷な事をいうよね」
「まあね。それより名無し君、わたし良い事を思いついたの」
「突然、なんだい?」
「名無し君の名前、今までなかったから。エルってどうかな?」
「……それ、元々君が僕に名乗ってた名前じゃない。というか、なんでエルって名乗ってたの?あと、なんで僕が人形って教えてくれなかったの?」
「いきなり真実を突きつけられたら、混乱してバルコニーから落っこちちゃうかも、って思って」
「……それは洒落にならないね」
「あはは。ところで、エルはこれからどうするの?」
「えっと、リーゼロッテは海は生命の墓場って言ってたよね」
「そうだけど……」
「だったら、僕は海に還りたいな。それで、花を添えてもらいたいんだ」
「……人形の頭でもよく考えるようになったね、エル」
「もう人形じゃないよ。リーゼロッテと同じ、ただの魂さ。それより、君はどうするの?」
「わたしは、エルとずっと一緒にいたい。だから、どこまでもついていくよ」
「……君ってどこまでもお嬢様らしくないお嬢様だよね」
僕は笑った。
「まあね。さ……行きましょうか、エル?」
リーゼロッテも笑った。
「うん……一緒に、行こう」
そして僕はリーゼロッテと手を繋ぎ、どこまでも深い海へ、どこまでも一緒に潜っていった。
海の中は冷たくて、でも、どこまでも澄んでいて。
それでいて、リーゼロッテの手が、温かかった。
名無しの人形だった僕は、魂と共に名前を貰った。
僕は、エル。
隣にいるのは、大好きな友達、リーゼロッテお嬢さん。
ああ、胸が温かい。これが、本物の幸せなんだろう。
ソフィーナさんと、アリティアと、ミレイヌの事もちゃんと覚えてる。
あの3人も今となっては過去の思い出になってしまったけど、あの短い日々もなんだかんだいって楽しかったかもしれない。
ミレイヌの件はびっくりしたけど、不思議と僕はミレイヌを恨んでいない。
3人とも、ありがとう。
END
読んでいただいてありがとうございました。
今思い返しても、若干後味悪いかも……?
普通にメイドさんといちゃいちゃする話も書いてみたいです。
ハーレムハーレム。




