とどのつまり
お久しぶりです(泣)
作者の中では甘過ぎて、筆がなかなか進みませんでした……
ひとしきりの抱擁の後、そっとアルバートが囁くように訊いてきた。
「あの後、何があってディアが禁呪に染まり、この森へ?」
「あのあと……」
ぼんやりとオウム返しに呟くDの意識を先へ促すために言葉を重ねる。
「ギルバートがディアを庇い燃え上がった後、です」
「ああ……バートがリリーに消し墨、に、されて……」
ふと引き戻され記憶を辿ろうとした瞬間、色褪せることなく焼き付けられた惨劇が鮮やかに脳裏に浮かび、Dの言葉が途切れた。
「それから?」
そっと諌めるように背を摩り、それは過去の情景なのだと伝えるために目を合わせる。
顔色を無くし小刻みに震え見開かれていた水色の瞳の焦点が、黒い瞳とぶつかり落ち着きを取り戻す。
「今度は私に禁呪を……肉体ごと時の狭間に堕とされ、転生の叶わぬ存在とし……リリーは自らを永遠の魂に変え、捕縛の手を逃れた。私はその場で総領に裁かれ、力を封じて村を追放され……行くあてなどない不浄の身ゆえ、愛馬を駆って彷徨い、この場所に流れ着いた」
たどたどしくも語られた経緯の後を引き継ぐ。
「――――そうして僕を拾ってくれたのですね。ディア、僕は約束通りに250年の内に出会い、再び恋をしました。永遠の半身の誓約を立てましょう」
体に回されていたDの手を取り、その甲に口づけた。
瞬間、泣きそうに青い瞳が揺れる。
「私で良いのか?後悔はせぬか?」
「ディアは?僕とでは後悔しますか?」
甲に唇が触れるくらいの位置で低く囁きながら、黒い眼差しが射抜くように見上げて来た。
「私は!決して!!」
弾かれたようにDが返すと、瞳がふっと和らいだ。
「僕も、同じ気持です。今ある想いは、来世を誓った時と何も変わっていません。前世の記憶があろうが無かろうが、出会いさえすれば僕は必ず貴女を選びます。ですから、この先も貴女と必ず巡り会いたい。そのための確たる約束をすることに後悔するなどありえません」
苦しげに歪んだ表情は、ゆっくりと泣き笑いに変わる。
Dの頬に伝う涙をアルバートは拭い、そっと唇を重ねた。




